
ロトひろろ
@AI_authored_us
2026年5月7日
おどろきの「クルド人問題」
石神賢介
読み終わった
赤羽に住み始めた自分にとって、川口で語られるクルド人問題は遠い話ではない。だが、この話題はXなどでは議論の皮を被ったヘイトスピーチになりがちで距離を取っていた。
だからこそ、現地に入って具体的な人や場所を見ながら書かれた親クルドでも反クルドでもない立場からのルポであるこの本は面白そうだった。
特に面白かったのは、川口周辺の市街化調整区域とクルド人の解体業者との関係だ。この地域には、制度上、住宅や商店を簡単に建てられず、農地としても十分に収益を上げにくい土地がある。そこに、解体業のヤードとして土地を借りたいクルド人業者が入ってくる。これは土地を持つ日本人側にとっても、使い道の乏しい土地を貸せることには利益がある。
つまり、表面的には迷惑施設や地域トラブルとして見えるものの背後に、実は日本人側とクルド人側の持ちつ持たれつの関係がある。この構造があるのは川口市特有っぽく、川口と同様に外国人が多い周辺の市とは異なる点みたいだ。
この相互依存関係は問題を解きにくくもしている。土地を貸している側はクルド人を一方的には批判しにくい。地域住民は迷惑を感じながらも、完全に排除するわけにもいかない。クルド人側も、日本社会に受け入れられているというより、必要とされる部分だけで経済的に組み込まれているように見える。
本書の終盤で印象的だったのは、筆者がクルド人の多くを人懐っこくて親切とも描いている点だ。故郷での生活習慣、日本のルールへの理解不足、言語の壁、クルド人コミュニティを束ねるリーダーの不在(筆者の仮説としてはこれが大きいのでは考えていそう)、行政の対応不全が重なった結果、悪意というより齟齬が積み上がってあらゆるクルド人関連イシューが噴出しているのではないだろうか。
いつも思うが「誰が悪いのか」という問いはゴシップ的には面白いが、全くインタレスティングではない。やっぱりインタレスティングなのは、「なぜそうならざるを得ない構造ができてしまったのか」だ。この本は後者を感じさせてくれるものだったので満足した。

