
阿部義彦
@xtc1961ymo
2026年5月7日
冗談に殺す
夢野久作,
日下三蔵
読み終わった
日下三蔵さんによる、ベスト選集の下巻、漸く読了。夢野久作の長編は『ドグラ・マグラ』『暗黒公使』『犬神博士』3作のみ(前2作は読了済み)で本来は中短編作家との事。後編は冒頭の中編『氷の涯』がスケール共に圧巻。戦時のロシアが舞台で、そこに駐在する日本兵の巻き込まれる陰謀劇。殺人は起こるのし、推理劇もあるのだが、久作氏の物語はそれが主筋ではなく、巻き込まれる人々の因果律が織り成す運命の交錯と相容れない恋愛感情による逃避行、その行き先は。なんでしょう、『運命劇』か。他にも精神異常、精神病院がやけに登場する短編が多いのも特徴。院長との会話文で記憶喪失の男が延々と語る『キチガイ地獄』では、読んでるこちらまで、妄想が伝染してきて、二段底、三段底の眩暈に襲われます。巻末には何種類もの江戸川乱歩による賛辞そして、突然の死における追悼文まで、久しぶりに幻想伝奇探偵因果小説を堪能しました。満足!



