
même
@miz_umi0
2025年3月20日

言葉と歩く日記
多和田葉子
読んでる
【P20】
国際交流基金の理事が来独中とのことで、ベルリンの日本大使館が大使公邸で夕食会を催し、招待してくれた。その席で、ベルリーナー・フェストシュピーレの新しい芸術監督のトーマス・ オーバーレンダーさんに初めて遭い、いろいろな話をしているうちに、ふいに、「坂口恭平さん の作品、知ってますか」と訊かれ、とても驚いた。去年の暮れ、新宿の紀伊國屋で偶然見かけて 面白そうなので買っておいた『独立国家のつくりかた』という本を昨夜ちょうど読ん だところだ った。その本は別の日に読んでもよかったのに、それが昨日なのだった。こういう出逢いは偶然 ではないのだ、と数年前エイズで命を失った知人が言っていた。 我々の頭上で思考たちが勝手に交流しているのだ、と。


