
たかせ
@takasen
2026年5月9日
哲学で抵抗する
高桑和巳
読み終わった
「哲学とは、概念を云々することで世界の認識を更新する知的な抵抗である」という著者私製の定義に基づき、映画や文学作品、実際の社会運動を「抵抗」という哲学でもってひもといていく。
「抵抗は、それがうまくいくかいかないかという価値判断とは無縁です」
「哲学という抵抗もやはり、有用性や有効性によって価値を計られることはありません」
「勝とうが負けようが、当の哲学の営みによって、そのとき『世界の見えかた』はすでに変わっている」(p.51)
紹介された数々の抵抗はどれも、多数派による、見えない抑圧に対する抵抗だった。権力はもちろん、「社会とはそういうものだ」と諦めを強要する運命論的な受け止め方に対しても彼らは抵抗する。
社会における抵抗とは基本的に弱い者、少数派が起こすものだと思うが、彼らが戦うのは、権力者だけではなく、そうした「そういうものだから諦めろ」という大衆の認識、声でもあり、むしろそちらが最も手ごわい存在なのかも…という気持ちになった。
社会はそう簡単には変わらない。しかし抵抗が即時に成功しなくとも、その抵抗によって、社会がそうした不平等や不均衡に気づく、そのこと自体に意味があるのだ。
正直なところ、哲学という面についてはいまひとつ理解が及ばなかったけれど、抵抗の意味や社会の構造といった部分についてはいろいろと得るものがあり、励まされた。変えたいと思う気持ちを持ち続けよう。
