
えい
@shibamoti
2026年5月9日

最古の料理 (りぶらりあ選書)
ジャン・ボテロ
読み終わった
資料系
@ 自宅
最古の料理というタイトルに惹かれて読んでみたが、気軽にレシピを眺めるようなものとは全く趣旨が違った。
楔形文字で残された料理に関する記述を丁寧に読み解き、断片的な資料から当時のレシピに関して推測を重ねていく。まず、いわゆるレシピらしいレシピがない。そもそも現存する資料があまりに少ないのだ。その上破損もある。紀元前の話でさらにそこから1000年もの時間を遡るのだから当たり前なのだが、改めて歴史の痕跡を保存・復元する難易度の高さを思い知る。特定できない正体不明の料理や食材も多い。
レシピの元になる資料は、この本が著された当時イェール大学で新たに発表された平板である。しかしこれを読み解くのにも少なくとも言語分野の専門知識が必須で、考えるだに膨大な労力と根気を要する作業だ。
限られた資料からレシピを読み解くために、当該の本文のみならず、用いられた食材から調理法の推察をし、ある時は使用した食具調理器具の形状から料理や生活を考え、祝宴と儀式の中にもヒントを見出していく。最終的に宗教と死生観まで考察する本書はレシピ本という域に収まらない、メソポタミア文化論である。これが可能になるのは、この文明に関しての著者の深い知識あってこそのものだ。
もちろん推論の全てが正しいはずもないが、研究数としてあまり多くないというメソポタミア文明における食に関して、貴重な考察だと感じた。
難しい本だったがいずれ再読したい。その際は、本書は発行から20年程度経っているので、併せて新しい情報も読み込んでいきたい。
