しんどうこころ "モロイ" 2026年5月9日

モロイ
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サミュエル・ベケット
精神と言語が崩壊する。 本作は、その追体験を読者に強いる。 一般的に、文学は、筋が通るように整頓され、書かれている。 だが本作は、冒頭からその秩序が破壊された状態ではじまる。思考は流れ、逸れ、支離滅裂に漂い続ける。まさに狂気。 だがふと、人間本来の思考の仕方と比べてみるとどうだろう。むしろ、こちらの方が自然なのではないか。 人間は絶えず連想ゲームのように思考する。決して道は一直線ではない。明確な目的を持って思考しているシーンの方が明らかに少ない。 このように思考は常に浮遊している。 問いも、答えも、決してそこに留まり続けない。 ベケットは狂人を描きながら、人間の精神そのものを暴き出しているように思えた。 ※筑摩の世界文学体系にて読了
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