浸る
@rattatatatat
2026年5月10日
算数文章題が解けない子どもたち
中石ゆうこ,
今井むつみ,
杉村伸一郎,
楠見孝,
永田良太,
西川一二
読了
前著『学力喪失』(岩波新書)に感銘を受けたのでこの本を手に取った。
この2冊で紹介される著者達が開発したという通称「たつじんテスト」の問題を写してプリントし、中学1年の娘に解いてもらった。思っていた通りいくつかの問題では、本で紹介されている子ども達の誤答と同じような根本的な間違いがあって、なるほどなと思った。
自分が子どもの頃のことを思い出してみても、ある時期から算数を難しいと感じるようになった。そして苦手意識を持つようになった。ある単元でつまずいても授業はストップしてくれない。さっさと次の単元にいってしまうのだ。
この本ではそんな昔の自分のような「学べない子ども」を責めない。
むしろ、理解の前提が形成されないまま授業だけが先へ進み、「なぜ間違っているのか」がわからないまま失敗経験だけが積み重なっていくことの危険性を指摘している。
その結果、子どもは「自分はできない人間だ」と思い込み、学習性無力感に陥っていく。
「たつじんテスト」は単元で教えられる内容をどこまで理解しているか測るのではなく、学ぶ内容を理解するために必要な前提知識と認知能力を子どもが持っているかどうか、何が足りないのかをつまびらかにするためのテストなのである。
学年が上がるにつれ勉強はどんどん抽象度を増し、難しくなる。つまずく子どもは頭が悪いからつまずくのではない。抽象的な算数の概念と自分のスキーマ(暗黙の知識)がぶつかって混乱するからつまずくのである。
2つの「たつじんテスト」の実施結果を通して見えてきたつまずきの原因、そして著者が語る本当の学力を身につけるにはどうすればいいのか。この本と『学力喪失』にはその重要なポイントが書いてあった。
最後にこの本で定義される学力の定義を紹介する。本来の学力とは、学び方を自ら考え、工夫し、「死んだ知識(使えない知識)」ではなく、「生きた知識(すぐに取り出せる使える知識)」の体系を構築することができる力のことなのだ。
