
にゃんたろ
@nuan_ta
2026年5月10日
冷静と情熱のあいだ Rosso
江國香織,
角川書店装丁室
読み終わった
わたしは青を先に読んだ。
あかるい部屋でするのは苦手なあおい。青で再会を果たしたあとの三日目の昼、順正とあおいが溢れかえる光の中で愛しあったあのシーンをまず思い出す。あのとき彼は勘違いをしたけれど、あおいは彼だったから、これが最後の彼との触れあいだと思ったから、どうしようもなく陽の中で身体を開け渡したのだと途中で理解してしまったときには胸が締めつけられた。
十年経ってあらゆることが変わっていたはずで、でも変わってもなお自分の中にある、自分の全てを変えてしまうほどの彼の気配に気づいてしまって、時間なんてなんの役にも立っていなくて。過去ではなく、彼の存在は現在の彼女に息づいている。青が修復師である彼が今を捨て過去へ過去へと向かう話に思えたけれど、赤はどちらかというと自分の心に誰がいるのか、今この瞬間の話のように感じた。
青を読んでいるから、このあと電車で先周りした彼があおいを待っていることを私は知っている。順正の情熱があおいの冷静に追いつくことを。ふたりで幸せになることをどうか、彼女自身が許すことができるように祈っている。