
ちとせ
@4wsdig
2026年5月10日

事件は終わった
降田天
読み終わった
電車内で起きた、無差別殺傷事件。
犯人は逮捕されて事件自体は終わったけれど、当事者たちの中では当然『過去のこと』にはなっていなくて…という、考えてみれば当たり前だけどあまり考えないようにしている視点の連作集。
そうだよなあ、実際の負傷者だけじゃなくて居合わせた人にだって傷は残るし、負傷者も外傷だけが被害じゃないよなあ…
『水の香』、しんどかった〜…ほんとに…妊婦を庇って死んだはずの老人、でも実は事件当日に流産していて事件当時にはもう妊婦じゃなかったという…だから失われた命に対して勘定が合わないってそんな…
でも結局、故人の家で犬がめっちゃ吠えてたのはなんだったんだろ?
『顔』はまあ本を読む前に予測したとおりの、乗り合わせた乗客によるトラウマね〜と思ってたら…思わぬ方向に転がっていって…池渕と村山のすれ違いと事件当日の事実にびっくりしてたら、まさかの野江ちゃん!
痴漢されて死ねって言いたくなる気持ちは痴漢されたことのある人間なら誰でもわかるだろうけど、実際死なれてしまった場合の自責感はいかばかりか…本当に痴漢だったのかももう確かめようがないし…しんど…
『壁の男』で生前の向井正道を知って、似鳥の絵じゃないけどいきなり向井正道が温度を持って動き出した感じがして、冒頭の事件がめっちゃしんどくなった。
人の財布から勝手に金を抜いていく酔っぱらいのジジイ、確かに痴漢もしそうだけど(最悪の偏見)なんとなく本当に狙って痴漢したわけじゃないような気がしたな〜と思ったけど、これもあくまで似鳥の目から見た向井の一面でしかないのだなあ。

