@s_ota92
2026年5月12日
φは壊れたね
森博嗣
p23
「唯一の接点といえば、山吹が研究指導を受けているN大の二酸化炭素萌絵という名の先輩と、加部谷恵美が知り合いだった、ということくらいだろう。」
p24
「事象の始まりとは、すなわち、意志の立ち上がりであり、決意をし実行しようと最初の息を吸ったときには、多くの結果はほぼ決まっている、といえるだろう。」
p40
「アルファベットのYの形だ。」
p43
「「何、それ、銀色のナイフ?」白金が言った。」
p70
「彼が静寂を製造していることはまちがいない。」
p103
「ドアが開いて、国枝桃子が現れた。この研究室のボスである。西之園とは年齢差が九つ。三十代半ばで、妻帯者、ではなく、夫帯者。」
p116
「人間は、つまり、予想できる対象には、それほど驚かないものである。」
p119
「中学生のときに知り合った西之園萌絵が、すべてにおいて、加部谷の憧れだった。」
p124
「「どうして?西之園さん、密室と関係があるわけ?ああでも、なんかね、そういえば、警察の人たちと、やたら親しいというか、いやどっちかっていうと、刑事の人が、みんな西之園さんを女王様みたいに扱ってるんだよね、うん、もしかして、その方面では、有名な研究者なのかなあって想像したんだけれど。」」
p128
「「人それぞれ、特別なものがあるってこと。」」
p134
「「φ?」」
p135
「「ええ、≪φは壊れたね≫って。」」
p136
「「空集合。」国枝が珍しく口をきいた。」
p144
「人それぞれ、言いたいことは自分で言うべきだ、と彼は考えているので、とにかくこの場は黙っている決意をする。」
p153
「凝りたいときと、簡単に済ませたいときがあるだけで、いつも同じようにしたいとは思わない。」
p182
「「道路を通っている大型ダンプに、土が山盛り積まれているのを、見たことがあるだろう?」」
p183
「「ものを見たとき、人間は、そのものを限定して、思考する。」」
p205
「≪赤柳初郎≫という名前、肩書きは≪探偵≫とある。」
p262
「彼の場合、必要がないから話さない、ということらしい。もしかしたら、他人に絶望しているのだろうか。どうせ話しても理解をしてもらえない、だから話すだけ無駄だ、と考えているのかもしれない。」
p271
「「そのナイフの写真を見せてほしいって言った人が、もう一人いたの。それで、昨日、刑事さんにお願いして、この写真を借りてきたところだったわけ。」」
p274
「「僕自身に大きな影響があるとは思えない。僕が推論の結果を語っても、語らなくても、大差はないんだ。警察は科学的な捜査によって、この犯行の真相を暴くだろう。」」
p283
「「教訓は認識するよりも、実践することに価値がある。」」
p289
「人間がナイフと認識するその物体がない、すなわち物体は存在しても、認識によって人間とナイフが関連づけられなければ、存在しないことに等しい、というようなことを、海月ならば言いそうだ、と山吹は想像した。」
p298
「「すべてが手掛かりだし、同時に、すべてが無関係だ。現実の多層性とは、そういうものだよ。」」
p302
「現実というものを相手にする場合、どんなものであれ、多かれ少なかれ、歩み寄りが必要だろう。自分が掴んだ、と思える真実とは、自分が作り上げた都合の良い真実である。」