
本屋lighthouse
@books-lighthouse
2026年5月13日
ロード・ジム
ジョゼフ・コンラッド,
柴田元幸
まだ読んでる
昨夜、とんでもない雨の音でまたもや目が覚める。日本で言うところのゲリラ豪雨なんて比じゃないレベルのものだった(実際に死傷者が出るレベルのものでなければゲリラという軍事用語を使うのではなく「気まぐれおこりんぼレイン」くらいで十分だと思う)。まるで遠くから飛行機のようなものが近づいてきているかのような音の前触れがあり、それがいつのまにかあたりを満たしてデフォルト設定になっているような感覚。カーテンを閉めているとまったくわからない。
6時前に起きてホテルで朝食。タイ風のお粥。うまし。トゥクトゥクに乗ってチェンライ空港へ。意外と満員に近い便に乗ってドンムアン空港へ1週間ぶりに戻る。機内では『ロード・ジム』。
娘はあわただしげに、ひどく低い声で『これで四人の男と戦えますか?』と訊いた。この部分を語りながら、自分の応答の慇懃な迅速さを思い起こしてジムは笑った。どうやら相当芝居っ気たっぷりに答えたらしい。『もちろんだとも――いいとも――もちろん――何でも言ってくれたまえ』。はっきり目は覚めてはいなかったが、こういう異様な状況にあってこそ礼は尽くさねば、疑いも迷いもない献身を示さねば、そういう思いが頭にあった。(p.398-399)
ダブリンに3週間ほどおためし留学をしていた20歳の夏は、まだアレルギーが原因であることがわからぬまま謎の体調不良を抱えていて、不眠対策に軽めの眠剤を飲んでいた。ある夜、眠剤を飲んで眠りについたすぐあとだと思うのだけど、ドアを叩く音がする。眠剤の効きが浅かったのか起きれてしまい、相当にぼうっとした状態で後輩に共有の部屋に連れていかれると、ルームメイトたちがパーティーのようなものをひらいていて、集合写真を撮るからシャッターを押してほしいと言われる。だからきっとなんらかの写真を撮ったはずなのだけど、そこからの記憶はなく、部屋に戻った記憶もない。パーティーに参加した記憶はもっとない。寝ぼけているというにはどこか様子のおかしい、うつろな顔と足どりであったはずの私にシャッターを押されたルームメイトたちこそ、むしろ幽霊に魂を抜かれたように感じたかもしれない。もしかしたらホラー体験として記憶されているのかもしれない。そのことについて後日感謝されたりなにかを言われた記憶はない。とにかく私は必死にシャッターを押したのだろう。なにに対する献身なのかはわからないが、人にはそういうところがあると思う。わけがわからない状況であるからこそその状況におけるベストを必死に探ってしまう。
バスと電車を乗り継いでバイヨークスカイホテルという超高層ホテルへ。部屋は62階。せっかくだから77階の屋内展望台と、84階の屋外展望台へ行く。屋外のにはrevolvingという単語が見え、なんだろうと思っていたが、床が歩く歩道みたいになっていて立ったまま一周できるという代物だった。無駄にハイテクだが、いかんせんそれなりに歴史のある建物なので浅草花やしき感がある。
父は昼に食べたそこそこ高級のごはん(トムヤムクン、プーパッポンカリー、ポメロサラダ)がしっかり効いているためホテル内でゆっくり、私は毎度お馴染みバンコクの紀伊國屋書店へと向かった。文学の棚を中心にじっくり堪能し、結局『ハムネット』の原書を購入。前回は『哀れなるものたち』だった気がするので、どうもここに来ると直近で見て気に入った映画の原作を買うことになるらしい。行きのANA便で映画もあることを確認しているので、明日の帰国便で観る予定。なかったら悲しい。
なんだかんだで私も私もおなかがいっぱいのままなので、屋台でマンゴーライスの小さいパックを買い、父に頼まれていたフルーツも買い、部屋に戻る。最終日だけ父と同室。父は就寝、私は日記を書いて、しばらくしたら就寝予定。







