@s_ota92
2026年5月16日

p33
「名づけるならば、ティータイム・サタデーアフターヌーン・スペシャル。」
p39
「惨劇は、人知れず最初の小さな亀裂を生じさせる。そして、誰も気づかぬうちに四方へその先端を伸ばす。既に不可逆。破滅が目に見える頃には、もう最終段階。ぱんと弾け飛ぶように、一気に周囲へ拡散し、形を消すことで露わになる。」
p63
「「それには、少しだけ説明をしなければならない。キーワードとしては、MNI、佐織宗尊、それから真賀田四季。」」
p86
「「つまり、一般的に感受性の強い人が、この種のセンスにも長けている。また、感受性の強い人ほど、統計的に美しい。」」
p107
「「子供のときは、数々の能力を誰もが持っています。自覚はできますが、しかし、他人から見れば、単なる一人遊びの領域を出ないものです。相手が関心を示さないことで自分を修正し、また大人に指摘されて、共通する最低限の感覚しか持ってはいけない、ということを子供は学ぶのです。それによって、自らの能力を封じ込める。」」
p111
「「貴女が、そういったセンスに優れているのは、小さい頃に、目の前で悲劇を見たからではないでしょうか。」神居が言う。」
p151
「「主観的な精神反応の個人的解釈に立ち入るつもりはありませんので、否定するというのは、言葉として少し違うと思います。たとえば、子供が人形や縫いぐるみに名前をつけて呼ぶ、ということを否定するのか、というのと同じ問題です。忌み嫌うべきものでもありません。むしろ、多くの場合は微笑ましいとさえ思いますね。」」
p159
「「それは、彼女の自由です。誰もが、自分に最適な解釈を採用します。これはなにかのまやかしだ、単なるマジックだ、と彼女が思えば、それよまた今の彼女には必要なことなのです。しかし、いつか真実に気づくかもしれない。ずっと心の隅に残ることでしょうし、いずれまた将来、偶然にも同じ体験をするかもしれません。」」
p198
「「テーブルの位置を変えるからって言われて、それを手伝った。」」
p205
「「ああ、でも本当に、吹雪の山荘になってきたじゃないですか。」」
p206
「そうは言ったものの、実は諏訪野は最初から、適温にして持ってきてくれる。」
p223
「「これに似たことを国枝先生から言われたことがあるんだ。研究でね。つまり、自分が既に持っている常識が、新しい可能性を知らないうちに排除してしまうことがあるって。」」
p224
「「あの窓を使う方法が、可能性として挙がっていない。」海月が指摘した。」
p269
「「τになるまで待って。」」
p271
「いうまでもなく、いつも気がするだけなのだ、すべて。」
p272
「ようやく、現実が歪みなく見える、という幻想を手に入れた。」
p276
「「いつもの空じゃないか。」犀川は呟いた。けれど、西の空を振り返ったとき、日常的ではないものが近づいてくるのが見えた。」
p280
「「あれはつまり、問題のあの部屋をいくら観察しても、わからないことなんだ。」」
p282
「「沈黙の彼氏。」赤柳がにこにこ顔で言う。」
p293
「「いや、密室は解けた。つまり、僕の仕事は終わった。この煙草を吸い終わったら帰ろう。」」
p305
「「思考というのは、既に知っていることによって限定され、不自由になる。」」
p305
「「まっさらで素直に考えることは、けっこう難しい。重要なことは、立ち入らないことだ。海月君が真理を見抜いたのも、その視点によるところが大きい。」」
p328
「「年季は入っているようですけれど、私の目は誤魔化せませんよ。」赤柳は小さく口を開けたまま、自分の髭に手をやった。じっと佐々木を見据えている。」