
彼らは読みつづけた
@findareading
2026年5月16日
ロゴスの市
乙川優三郎
読み終わった
*本の中の読書*
《その日、なんとなく最初に書棚から引き抜いたのは純文学らしい地味な装幀の、しかも古そうな本であった。
「隅田川暮色」
「芝木好子」
聞いたことがない。つまらなければ戻すつもりで、彼は冒頭に目をやった。文章の質を見極める自信はあって、数行でも読めたら佳い小説である可能性が高く、ページを捲らせたら間違いなく佳品である。彼はページを捲った。やがて次のページも捲った。それから深い吐息をついた。
なにが美しいといって、これほど無駄のない端整な文章は初めてであった。》
— 乙川優三郎著『ロゴスの市』(2015年11月、徳間書店)
