JUNYA WARASHINA "尾崎翠集成(上)" 2026年5月19日

尾崎翠集成(上)
尾崎翠集成(上)
中野翠,
尾崎翠
『歩行』(収録作品) 祖母に頼まれて、お萩を届けにいく——ただそれだけのはずなのに、なぜかずっと妙な感じが続く。 道を歩いているだけなのに、景色も人も、少しずつ現実からずれていく。 登場人物たちはどこかぎこちなく、妙に戯曲的だ。 読んでいるうちに気づくのは、 「何も起きていないのに、ずっと落ち着かない」という感覚。 夢の中のようにぼんやりしているのに、神経だけが研ぎ澄まされている。 そのアンバランスさが、乾いたユーモアとして静かに漂う。 気づけば、「私」と一緒に、どこにも辿り着かないまま秋の風の中を歩いている。
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