
活字畑でつかまえて
@catcher-in-the-eye
2026年5月24日
キャリー
スティーヴン・キング
読み終わった
傑作。
キャリーの怒り、復讐心に火がつき
爆発が爆発を呼び連鎖し続けすべてを焼き尽くしていく様は、シャイニングにも通じる。
きわめて映像的でもある。
そしてラスト
新たなキャリーが育ちつつあるという結末。
しかしもう誰にも止められない。
優生思想は法律違反であり人権侵害である。
さぁ、どうする人類?と
キングは我々に突きつける。
キャリーの学校の校長と
いじめっ子のリーダー格、クリス•ハーゲンセンの父親(弁護士)のやり取りが素晴らしい。
とりあえず校長は父親を返り討ちにするが
父親が大人しく引き下がるわけないよなと思う。
この先、なにがしかの復讐が待ち受けているだろうという予感しかない。
キャリーか七学年の時に宿題で書いた短詩
⭐︎
イエスは壁から見守っている
けれどその顔は石のように冷たい
もしも彼女がいうように
イエスがわたしを愛しているのなら
なぜわたしはこんなに孤独なのだろう?
⭐︎
スーザン•スネル「だけど、だれかが本気で
••••••なにか意味のある行動で、彼女に同情しなきゃいけないわ」
スーはキャリーへの贖罪から
キャリーを春の舞踏会に誘うよう
ボーイフレンドに懇願する。
地獄への道は善意で舗装されているの典型のような
贖罪意識。悪い予感しかない。
「かつがれるのはいやよ」
スーのボーイフレンドに舞踏会に誘われた時のキャリーの気持ちを想うとせつない。
「わたしをいつまでも騙しつづけられると思っているの?」
「いいわ」と、彼女は囁いた。「ありがとう」
このありがとうがまたなんともせつない。
しかしキャリーは釘を刺している。
「きっと恐ろしいことになるわ」と。
「気おくれを感じたけれども断念はしなかった。なせなら、その気になれば店内の人間が悲鳴をあげて外へ逃げだすように仕向けることもできたからである。」キャリー強い(笑)
「ねえ、わかってよママ、わたしだってそろそろ••••••みんなに溶けこむように努力しなきゃ。わたしはママと違うわ。わたしは変り者なの••••••つまり、みんなに変り者だと思われているのよ。だけどそんなのいやだわ。手遅れにならないうちに、なんとかまともな人間になりたいー」
ミセス•ホワイトはキャリーの顔に紅茶を浴びせかけた。
なんという痛切なキャリーの母への吐露。しかし母親はそんなキャリーの痛ましい思いを跳ね返す。
あぁ、母親がいちばんの敵になる不幸。
キャリーを目の敵にするクリスのボーイフレンド一味による豚殺しの凄惨な場面は胸糞が悪い。
豚にポテチを食わせている間にハンマーで脳天をカチ割る。なんともいえない殺戮シーンだ。
第二部の冒頭
「五月二十七日の朝、彼女は自分の部屋ではじめてドレスを着てみた。」
なんて美しいはじまりだろう。
しかし、美しいぶんきっときっと恐ろしい何かが待ち受けている予感しかない。絶望感がある。
「この家にいるかぎり、女の子たちに笑われ、罵られ、物を投げつけられるおそれはなかった。」
キャリーはそれでも前に進もうとした。
自分から変わりたいと思った。
その態度は僕の心を真っ直ぐに打つ。
(お願いだからハッピー•エンドにしてください)
だけど僕は知っている。
キャリーのたった一つの願いすら叶えられないということを。
舞踏会で教師ミス•デジャルダンがキャリーに
「いままでのことは••••••もうみんな忘れたわ。」と言うが、キャリーは「わたしは忘れません。」と返す。なぜなら「なによりも自分に対して正直でありたかった」からというのが胸を打つ。
キャリー「卑劣ないたずら わたしの一生そのものが長い卑劣ないたずらだった」
なんて痛切極まりない独白だろう。
