
天果
@melon-rice
2025年3月21日

絶叫委員会
穂村弘
買った
かつて読んだ
本書が初めての穂村さん本だったと思う。『ダ・ヴィンチ』経由で知ったのだったかな。あれから、何冊かを買って読んだ。
日常生活でふと出会うような印象的な言葉たちについて綴られたエッセイで、読んでいて楽しい。どこか『VOW』や『言いまつがい』にも似た雰囲気を感じる。
本書で好いなと思った点を抜き出してこようとするとキリがないけれど、とりわけ感じ入ったのは「直球勝負・その2」にあった、言葉が他者の心を貫くストレートにになるには「翼」をもたねばならない、というくだり。
直接的な言い方をするだけなら単なる棒球で、自己と世界との間に横たわる絶対的な亀裂を越えられないのだという。
言葉と翼といえば、新潮新書の『翼のある言葉』(紀田順一郎)も思い出す。これは独語の「時・場所を超えて胸に届く言葉」を表すフレーズから付けられたタイトルとのことで、別の著者の手になる無関係の本の内容がつながるように感じられ、趣深かった。
ある種の詩や現代短歌などがそうであるように、言葉の羽ばたきは、自分の胸に新鮮な空気を吹き込んでくれる。
それによって生きながらえているみたいな感覚がある。

