
彼らは読みつづけた
@findareading
2026年5月22日
今日のかたすみ
川上佐都
読み終わった
*本の中の読書*
《俺はなんとなくリビングにある段ボール箱を開けながら、ちらちら韮子を見た。本を取り出すごとに韮子は、「おっ」とか「へえ」とか、俺に聞こえるか聞こえないかの声を出した。それらは見事に俺の感覚とずれていて、挫折したロシア文学を満足気に見ているときは、俺に感想を求めないでくれと思ったし、捨てる予定の自伝的小説のあらすじを真剣に読んでいるときは、どうか俺がそれを一軍の小説にしていると勘違いしないでくれと願った。しかし韮子はどの本に対しても一言も感想を言わなかった。》
— 川上佐都著『今日のかたすみ』(2023年12月、ポプラ社)





