
あやさび
@ayasabi
1900年1月1日

誕生日のアップルパイ
庄野千寿子
読み終わった
@ KIMAMA BOOKS(キママブックス)
こちらは、庄野千寿子さんが娘の夏子さんへ送ったお礼のお手紙842通の中から選んで編集された書簡集です。
庄野千寿子さんは、作家である庄野潤三さんの妻。
本の「はじめに」から引用しますと、
「作家夫婦が子どもたちに、うれしいことがあったらその日のうちに、つまり、よろこびが減らぬうちにお礼の手紙を書きなさい、と教えたように、千寿子さんもまた、うれしいこと があったら、その日のうちに娘に向けて葉書を書き、手紙を書きました。 本書はそのあたたかな記録です。」(p3)
と、あります。この本を読んでいると、あたたかくされたことを思い出し、優しい気持ちになり、感謝をたくさん表現したくなります。大切な人への誕生日のプレゼントにしたいなあ、と思いました。
千寿子さんの書く手紙は言葉使いがとてもユニークで、娘の夏子さんの呼び名も、「お夏どん」、「足柄のハイジ様」、「背中に翼のあるイノシシさん」、などなどいろいろあり、もちろん、手紙の最後にそえるご自身の名前も「ミセス・くつ下」、「落ちこみのおっかさん」、「ミセス、ほろほろ鳥」と、最後の最後まで、笑いを忘れません。
さて、こちらのタイトルにもある「アップルパイ」ですが、夏子さんの手作りで、母の日やお誕生日のプレゼントに送られたものです。いろんなケーキをご両親である庄野夫妻に送られていたようなのですが、こちらの本では圧倒的多数で、アップルケーキが18回出てきました。次に多いのは、ラムケーキの7回。(ラムケーキは、庄野潤三さんの本『誕生日のラムケーキ』で有名ですね。)チョコケーキは3回でした。
千寿子さんのアップルパイへのお礼の書き方が素晴らしく、こう書かれたら、贈り甲斐もあるなあと思いました。
お礼のお手紙、大事だとしみじみ感じました。
「そしてお食後に、大大大好きなアップルパイをゆっくり食べさせて貰って、幸わせな幸わせな幸わせな一日を感謝しました。
赤坂「ラ・シャンス」のチョコレートケーキもおいしいけれど、アイレスバローさんのつくったアップルパイには、かないません。私は、どんなケーキよりも好き。」(p159)
どうですか、幸わせ〜を口ずさみたくなります。
アイレスバローさんは、夏子さんのことを指すのですが、アガサ・クリスティーの小説に出てくるベテラン料理人のルーシー・アイレスバローからきていると思われます。
わたしも、写真を送った人から「アーバスさんの撮った写真には、かないません。わたしは、どんな写真よりも好き。」と手紙がきたら、また写真をたくさん送ろうと気持ちがうきうきすると思います。
だれかをうきうき幸わせ幸わせ幸わせな一日にしてしまうような写真を撮りたいなあ。千寿子さんの手紙のような。
「楽しかったアップルティーのような思いをこぼさないように」(p55)。