ハルノブ
@saittyo913
2026年5月25日
わたしたちが孤児だったころ
カズオ・イシグロ,
入江真佐子
読み終わった
この本は、とても良かったと思う。叙情的な描写と、後半にかけての、主人公の「両親はまだ生きているはずだ」という妄想、そして戦争というリアルが重なっていくシュールな世界。前半の叙情的な世界との対照的な関係がとてもよかった。
そして最後に、エピローグの中であの頃のことを思い返し、結局一緒には行けなかったサラ。彼女が本当に幸せな人生を送れたのか、本当に彼女がそうしたいと思ったことができたのかはわからない。でも、結局、自分も孤児であり、彼女も孤児であり、そして自分を迎え入れた両親のうち、彼女もまた孤児である。この「孤児である」という満たされなさ、失ってしまったものをどうにかして取り戻そうと、直そうとすること。そうしないと心の平穏が訪れないという、その描写がとても心に染み入った。
失ってしまったものを直そうとする、失わないと得られないということは、なんとなく自分にも当てはまるような気がして、とてもセンチメンタルな感情になってしまう。
結局、なんというか、自分の感情や行動、そういったもののモチベーションになっているのは、自分にないもの、失ったもの、満たされていないものを直そうとする力、取り戻そうとする力、そういうものなんだろうなということを少し感じた。
