わたしたちが孤児だったころ
30件の記録
碧衣@aoi-honmimi2025年12月15日読み終わった上海で暮らしていた十歳の頃に両親が失踪し、後年はイギリスの社交界でも名を知られる探偵となったクリストファー・バンクスは再び上海の地に足を踏み入れる。 貿易会社に勤めていた父と反アヘン運動に熱心だった美しい母。 母が抱えていたであろう自己矛盾、母の理想と父の重圧、日本人の友人との日々。子供であったが故に知らされなかったこと。 個人的にバンクスがしょっちゅう腹を立てる描写が印象に残る。 自身ではどうにもできない現実に彼は腹を立てている。それは大人になっても変わらない。 辿ってきたスリリングで緊迫した冒険の本来の姿は滑稽と思えるくらいにありきたりで残酷なほど醜悪だった。その事実にバンクスは打ちのめされただろう。自分が生きてこられたのは愛する人を穢し、辱めた者の施しの上で成り立っていたのだから。 愛する人に恩を返すことはもはや叶わなず、共に生きるべき人は自ら手放してしまった。だけど、まだ希望はある。幼くも気高い心を持つ孤児の少女との再び築き上げていく“家族”としての未来が。

rkm @ 𝖠𝗅𝗅 𝗒𝗈𝗎 𝗇𝖾𝖾𝖽 𝗂𝗌 💙@rkm172025年12月12日買ったまだ読んでるかつて読んだカズオ・イシグロの本でこれはたぶんすでに2回ぐらい読んでる。でも細かい話を忘れちゃってまた読み始めました。映画っぽくて好きだった記憶がある。実際映画になったんでしたっけ?



- 綾鷹@ayataka2025年11月26日主人公のクリストファー・バンクスは幼いころ住んでいた上海で、両親が謎の失踪をし、孤児となる。その後、故郷イギリスの叔母の家に引き取られ、やがて探偵になる。 探偵として幾多の難事件を解決し社交界でも名声を得た彼は、戦火にまみれる上海へと舞い戻り、両親失踪事件の解決を試みる。 無限の可能性が自分にはあると考えていた子供〜青年時代を経て、自分にできたことできなかったことを振り返る初老期までの話。 自分が思い描いていた現実にならなくても、何かを諦めることになっても、その時の思いは残る。 私たちは結局は孤児なのかもしれない。結局はひとりなのだとしても、大切な時期に誰かと一緒にいたことは意味があるのだと思った。 カズオ・イシグロの祖父が上海で設立された会社の取り締まりをしており、祖父母が上海で撮り溜めた当時の写真を見たことにより、カズオ・イシグロは上海への興味を深めたと言われている。 ・自分の振舞いにひどくがっかりすると、父と母はお互い話すのをやめてしまうのだ、とアキラは言った。わたしの場合、これはわたしがイギリス人としてふさわしい振舞いをしなかったということになる。そう考えれば、両親の沈黙と自分がその点で何か失敗したこととを結びつけることができるはずだ、とアキラは言った。アキラは、自分が日本人の血を貶めるようなことをしたときにはいつも自分でわかると言い、それで両親がお互いしゃべるのをやめてしまうのはごく当たり前のことだと言った。わたしたちがそのようにふさわしくない振舞いをしたと言うのなら、どうして両親はいつものように叱らないのだ、とわたしがアキラに訊くと、アキラはそういうことではないのだと説明した。つまり自分が言っているのは罰せられるようなふつうのいたずらとはまったく違う種類のことなのだ、自分が言っているのは、両親があまりに深く落胆してしまって、わたしたちを叱る気にもなれないようなときのことなのだ、と。 ・それからアキラは起き上がって座ると、そのとき半分ほど窓の上に引きおろされていた木製の日よけブラインドを指で示した。ぼくたち子供は、あの木製の羽根板を留めつけている燃り糸のようなものなんだ、とアキラは言った。日本人の僧侶からこう聞いたことがある、とアキラは言った。ぼくたちは気がつかないことが多いけれど、家族だけではなく、全世界をしっかりとつなぎとめているのは、ぼくたち子供なんだ、と。もしぼくたちが自分の役割をきちんと果たさなかったら、羽根板ははずれて床の上に散らばってしまう、と。 ・すべてはばらばらに散らばってしまうかもしれない。きみの言うとおりかもしれないよ。 それはぼくたちが簡単には逃れられないことなんだと思う。人間は自分が何かに属していると感じる必要がある。国とか人種とか。そうでないと何が起こるかわからないからね。 今ぼくたちが属しているこの文明も、ひょっとしたら崩壊してしまうかもしれない。そしてきみが言ったように、すべてはばらばらになってしまう ・ああ、クリストファー。あたくしたち二人ともどうしようもないわね。そういう考え方を捨てなきゃいけないわ。そうじゃないと、二人とも何もできなくなってしまう。あたくしたちがここ何年もそうだったみたいに。ただこれからも寂しさだけが続くのよ。何かはしらないけれど、まだ成しとげていない、まだだめだと言われつづけるばかりで、それ以外人生には何もない、そんな日々がまた続くだけよ。もうそういうことは置いておかなくては。 ・何が手遅れに・・・・って、もう、知らないわよ。あたくしにわかっているのは、あたくしが何かを探しながらここ何年も無駄にしてしまったってことだけ。もしあたくしがほんとうに、ほんとうにそれに値するだけのことをやった場合にもらえる、一種のトロフィーのようなものを探しているうちにね。でも、そんなものはもういらない。今は他のものが欲しいの。温かくてあたくしを包みこんでくれるようなもの、あたくしが何をやるとか、どんな人間になるとかに関係なく、戻っていけるものが。ただそこにあるもの、いつでもあるもの。ちょうど明日の空みたいに。そういうものが今は欲しいの。あなたもそういうものを欲しがっているはずだと思うの。 ・大佐はうなずいた。「今から思うと子供時代なんてずっと遠くのことのようです。このあたりすべてが」と彼は車の外を身振りで示した。「ひどくやられてしまいました。日本の歌人で、昔の宮廷にいた女性ですが、これがいかに悲しいことかと詠んだ人がいます。大人になってしまうと子供時代のことが外国の地のように思えると彼女は書いています」 「あの、大佐、わたしには子供時代がとても外国の地のようには思えないのですよ。いろんな意味で、わたしはずっとそこで生きつづけてきたのです。今になってようやく、わたしはそこから旅立とうとしているのです」 ・わたしはあちこちにーー店々の外にある中国語の看板や、市場で商売にいそしむ中国人の姿そのものにーー上海のぼんやりとした名残りを認めたとは思う。しかし、そのような名残りはむしろ不愉快なことのほうが多かった。それはまるで、ケンジントンやベイズウォーターで開かれている退屈なディナー・パーティに出席して、自分かかって愛した女性のまたいとこかなにかに出会ったようなものだ。身振りや、顔の表情、ちょっと肩をすくめるような動作が記憶を呼び覚ましはするが、そこにいるのは結局のところ、大切にしてきたイメージのぎごちない、いやグロテスクなと言ってもいいほどのパロディにすぎないのだ。 ・母は相変わらずわたしの肩越しに遠くを見ていたが、その顔に困惑の表情が浮かんだ。 「パフィンを許すですって?パフィンを許すとおっしゃいました?許すって何を?」それから、彼女はもう一度幸せそうににっこりと笑った。「あの子はね。うまくやってるらしいわ。だけど、そうは聞いてもほんとうのところはわかりません。ああ、あの子のことが心配でたまらないわ。ほんとうはどうかわからないんですもの」 ・「きみにはばかばかしく思えるかもしれないがね」先月、あの旅のことをふたたび話し合っていたときに、わたしはジェニファーに言った。「あの人がそう言ったとき初めて、あのときになって初めてわたしにはわかったんだよ。つまり、母はずっとわたしを愛しつづけてくれていたんだってことが。いついかなるときもずっとね。母はわたしがちゃんとした暮らしをしてくれているようにと、そのことだけを望んでいたんだ。その他のことはすべて、わたしか母を捜したそうとしていることだとか、世界を破滅から救おうだとか、そんなことはどうなっても関係なかったんだ。母がわたしを思う気持ち、その気持ちはいつもただそこにあったんだよ。どんなことにも左右されることなく。そんなことは、それほど驚くべきことではないかもしれない。だがわたしには、そう気づくのにこれだけの時間がかかったんだよ」 ・「ご自分のお仕事のことをそんなふうにひどく言ってはいけないわ、クリストファーおじさま。わたしはおじさまがやろうとなさってきたことを、ずっととても立派だと思ってきたのよ」 「やろうとした、まさにそのとおりだよ。結局のところはほとんど何もならなかった。いずれにしても、今となってはすべて終わったことだ。最近のわたしの夢は、このリウマチをなんとか抑えこむことだよ」 ・彼女の手紙のこの部分にはーーとりわけ最後の行にはーーどこかほんとうとは思えないところがあった。手紙全体を通して感じられるある微妙な調子がーーというより、あの時点で彼女がわたしに手紙を書いてよこしたという行為そのものが“幸福な生活と伴侶に"恵まれている日々だという彼女の報告と、どこかそぐわない感じがした。そのフランス人の伯爵との生活が、ほんとうにあの日、彼女が上海の桟橋から旅立ったときに頭に思い描いていたものだったのだろうか?わたしには、どうもそうとは思えないのだ。使命感のことや、それを回避しようとするなど無駄なことだと口にするとき、彼女はわたしのことと同時に自分自身のことも考えているような気がしてならない。おそらくそんな心配などせずに、人生を送っていくことのできる人々もいるのだろう。しかし、わたしたちのような者にとっては、消えてしまった両親の影を何年も追いかけている孤児のように世界に立ち向かうのが運命なのだ。最後まで使命を遂行しようとしながら、最善をつくすより他ないのだ。そうするまで、わたしたちには心の平安は許されないのだから。 ◾️解説 「あなたは孤児になるために、この物語を読むんだよ」
らむれざん@rumraisin2025年11月26日読み終わった第二次世界大戦の際の欧米の立ち回り方に対する強烈なメタファーなんだらう。ただただ一貫性がなく自己中でダメダメ主人公も、それならなんとか納得できる

hina@hina2025年5月5日読み始めた読み終わった読んで良かった@ 図書館【前】4/19 カズオ・イシグロはわたしを離さないで以来。結構翻訳小説って感じで読みにくいけどがんばる 【後】5/5 内容も翻訳自体も難しかったー!!過去一読みにくかったけどめっちゃわくわくした! けどあの戦場の中何十年も前に失踪した両親を探しに行く意味がわからなかった。やっぱり狂っていたっていう設定だったんかな??主人公視点で過去形で綴られてるから状況判断が難しかった 日本兵はほんとにあきらだったのか??あきらはなんで死んだのか???謎が多かった気がする。 また読み直したい
hina@hina2025年5月5日感想自分用最初は本当に爽やかで超有能な貴族を思い描いてた。見た目のイメージとしては映画のニュート・スキャマンダーが近い。正直探偵って何?って感じやったしそれって上流階級なん?って感じやったけどイギリスではそうみたい。話がポンポン飛びすぎるし〜事件とか〜会議とか横文字が多すぎて何の話してるのかよく分からないところが多かった。 普通に幼少期のこと覚えすぎじゃない???サラがあきらの話を聞きたがった理由もよく分からなかった。ほんで主人公はホンマにあのビッチのサラで良かったんか???でも主人公→サラの顔、サラ→主人公の名声しか好きじゃなかった感あるから意外と似たもの同士なのかも。あの時あのパーティに行って結婚しなければサラはもっと幸せになれたのでは…?って思ったけどそもそも動悸がどうであれサラの興味の対象は富と名声があるかどうかだったしサラ自体には何の有能さもなさそうだったので誰と結婚してもどの道最後は男にバカにされて棄てられる運命だったのかなと思った。信頼できない書き手であったことを踏まえてもサラが日本に収容されてた時期に手紙を送ってきて幸せをアピールしてた時点でフランス人との結婚もあんまり幸せじゃなかったんだろうなって思う。 全体を通して信頼できない書き手感がひしひしと伝わってきた。子供時代もあまりに聡明すぎるし子供にしては色々気づきすぎてるし。前半はあんなに有能な人間っぽかったのに現代ではどう見ても重要度の低い両親の救出を1番優先して周囲を困らせたり戦火の中何十年も前に誘拐されたとされている(しかも全くの嘘?)家に行ったり、日本兵をあきらだとして無理やりその家に連れて言ったり(おそらく本人では無い。セリフが全部オウム返しだったし家族構成に姉がいなかったことも不自然。英語も子供時代に比べてたどたどしすぎる)直ぐに癇癪を起こしたり相手を挑発したり子供っぽいところが沢山あって混乱した。普通に大怪我してる敵兵を幼なじみだと判断して穴から穴へ連れ回すのヤバすぎるだろ。ほんで結局その日本兵も最後は主人公が騒いで暴れたせいで捕まって死んでしまうし。子供いたのに。イマイチなんで処刑される運命になるのかよく分からなかった。状況的には日本兵なのにイギリス人に匿ってもらってたって思われたのかそもそも国防軍の近くで倒れてた時点で敵を買収しようとしていたのが軍にバレてたのか??主人公を迎えに来た偉い軍人が外来語をペラペラ話すのも外国の物を賞賛するのもそもそもコイツがそこまでされるほど国土の隅々まで認知されているのも不自然。なんでみんなこいつのこと知ってるんや、イギリスではそんなに探偵の地位が高いんか??? 普通に放置プレーされたサラが可哀想で草。しかも1回現れたのにやっぱりやらないといけないことがあって…とか言って出ていって二度とかえってこないのヤバすぎるだろ。まぁ多分一緒に行ってても幸せなオチではなかったと想像できるけど。 なんやかんや言ってたけど結局フィリップおぢさんは別の意味の悪人だったな。前半では普通に誘拐した黒幕だと思ってたよ。子供を拉致るだけ拉致って自力で帰れる街に置いてけぼりにするって言う中途半端さが謎やなとは思っていたけど。父親も普通に愛人と蒸発しただけやったし母親は病んでただけやったし現実はあっけないなって感じ。多分主人公は元ルームメイトが言ってたように変人で浮いてたんだろうな。誘拐事件もあったにはあったんやろうけどこの話とは多分全くの別もので、家が洋風で他と全然違うっていう描写からしてもここに遊びに来たか駐屯してた外国人が遊びで誘拐とかしてたんだろうなって思った。でも家の中にいた子が中国後話してたから違うのかな…あの子の描写なかったけどどうなったんやろ?日本人に見つかったから殺されたのかな。中国兵なら全員生き残れた可能性あったのに日本兵だったから全員死んでしまうのなかなか日本兵の残酷さが現れているなと思った。 信用できない書き手は自分の空想に現実の辻褄を合わせてたんだろうな。前半の口振りでは完全に父も母も何やら大きい勢力に誘拐されたことは間違いなかったし、周りの人の評価ではすぐに癇癪を起こす短気な子って感じだったけど一人称では周りに完璧に合わせられていたって書いてたもんな。この人周りから変人扱いされすぎじゃね。 翻訳小説だから読みにくかったし行間を読ますようなあいまいな描写が多くて本当に難しかった。けど展開が読めなくて面白かった!














