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@bunkobonsuki
2026年5月25日

滅びの鐘 (創元推理文庫)
乾石智子
「『復讐はいけない』なんて、綺麗事。復讐した方が気持ちがいい」
こんな言説をたびたび耳にする。
憎しみを断つには相手を滅ぼさんとするのが一番であると。確かに一理ある。
『滅びの鐘』はそんな憎しみの連鎖と断絶をテーマにした作品である。架空の世界で民族浄化が行われ、親を殺された主人公は敵を討つべく戦いに身を投じる。
本作はファンタジーであることが効いていると思った。魔法が存在する世界では、個人の復讐も大規模な殺戮へと変貌する。
たとえ最初は個人間の諍いだったとしても、やがて民族同士の対立に軸が移ってしまう。「なぜ、人は個人を憎み続けられないのだろう」と思ってしまう。
はじめの言説に戻る。
「復讐した方が気持ちいい」は、その先を考えなければ正当である。本作はその先を見せてくれる。血生臭い闘争と、融和までの道のりを。


