
かもめ通信
@kamome
2026年5月25日
夏にあたしたちが食べるもの
ソン・ジヒョン,
金子博昭
読み終わった
赤の他人の人生のひと夏分をのぞき込むような物語なのだけれど、昔懐かしい路地をあるいていたらふと妙なことを思い出す瞬間とか、昔の仲間たちとの飲み会の帰りの汗ばむような夏の夜に漂う切なさとか、淡々とした日常の中に、読み手に郷愁を感じさせるあれこれがあって、人の心の内を想像させる奥行きもあって…。
真夏に編み物をして、汗をかきながらハッドクを食べて…。
そのちょっとアンバランスな、それでいてそれでいいのだと思えるような、なんだか誰かに、あるいは自分自身に許されたような気分で、まだなにも始まっていないのに、ちょっと良いことがありそうな、そんな余韻も心地よく、読んでいるうちに読み手自身の肩の力も抜けたような気がした。






