K.K. "ファンタジスタドールイヴ" 2026年5月24日

K.K.
@honnranu
2026年5月24日
ファンタジスタドールイヴ
アニメ、アプリ、マンガなど多媒体で展開されたプロジェクト『ファンタジスタドール』のノベライズ。設定を共有しつつ、独立作品として読める。と、巻末のアニメ監督谷口悟朗氏の解説で知る。 どういう話か知らずに野﨑まどだからで読んだので、貿易商の一人息子が25前後の女中と一夏の間性的ないたずらをしたとか、小学六年生になって同級生の着替えを覗くだとか、気持ち悪い話で始まってかなり面食らった。最初にあるはしがきで、何かの計算式だとか、研究所らしき建物の前で撮影された白衣の男性たちの集合写真だとか、首から上が写っていない女性の裸体といった要素は羅列されていたので、主人公が物理の研究を始め、よくわからないけど物理現象の実験を始めたところで、ああそういう話なんだと思う。反面、夏目漱石の『こころ』のような、男性から多く聞かれる性的な(多くは女性への)関心と、それに対する自己嫌悪が主人公を苛む。ここにはいくつかの省察があるか。結末では、女性にトラウマのあるらしい複数の男性が集まって、主人公の発明した機器で女を作ると言い出し、その組織の名前がY-ome(ワイオーム・嫁)で失笑。明らかに問題のあるホモソーシャルだが、解説の谷口悟朗氏いわく「世の中はそうした人間が変えていく」らしい。 私はファンタジスタドールプロジェクトには触れていないので、ノベライズとしての満足感は測れないけれど、一人の男性の破局を眺める単体の小説としての味わいはあるか。個人的にはそこまで。私にはそこまで酷い女性に対するトラウマはないものの、共感するところもあるからこそ、彼岸に渡るのを堪えきれなかったのかと思う。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved