
Sanae
@sanaemizushima
2026年5月25日

辺境中国
デイヴィッド・アイマー,
近藤隆文
読み終わった
白水社のこういったシリーズは信頼を寄せている。今回も最高。
「疾走中国」、「ビルマハイウェイ」(こちらはReads始めてから読んだので投稿している)、今回がいちばん危険を孕んだものだった。何より中国の「辺境」だからそれも当然なのかもしれない。
著者は辺境に少数民族がどのように中国で生活し、考えているかを身体を張って取材している。
ウイグルであればイスラーム、チベットだとチベット仏教、雲南だとタイやミャンマーの仏教、東北部だと南北分断の朝鮮の影響、朝鮮のキリスト教やロシアの影響がある。島国日本に生きている者としては陸続きで、その辺境に生きる人たちがどんなふうに生きて考えているのか、何もかもが新鮮だった。
辺境に生きる人々は必ずしも中国語を話すわけではなく、北京政府や中国語より、そばにある国境の向こうの人たちに親近感があり(ときとして簡単に越境して働いたり、家族に会いに行ったりしている)、言葉も“向こう側”にずっと近い。
どのエリアも中国政府の対応が一様ではないことが興味深かった。
東トルキスタンとして独立をしたかったウイグル。侵攻され今ではfree Tibetを聞かなくなったが、ダライラマを軸として反乱が起きかねないとされるチベット。
これらのエリアは集会、学校全てにおいて監視されている。
対して雲南の少数民族は従順だとされるが、少数民族が使うタイ語やチベット語は僧侶になれば学べるとのこと。従順とされるが本音はもちろんそうではない。ゴールデントライアングルのある場所でもあり、光と影のギャップの激しさが目立つ。
そして東北部の北朝鮮国境付近では学校で朝鮮語も学ぶことが許されている。
北朝鮮は中国からの支援で成り立っている部分が大きいのでほとんど中国国内のように扱われるようだが、お腹を空かせて越境してくる難民たちには手厳しい。彼らも朝鮮半島の南北分断や信仰の自由に大きな葛藤がある。
政府に警戒されない少数民族を名乗るのは優遇制度もあるそうだが(この本で取材されている人はそうではない人々だ)、多くは少数民族に表現のはけ口を持っていないことは確かなようだ。
漢民族と少数民族の異民族結婚により次々と消滅し、話されなくなる言葉があり(もともと中国政府によって登録されていない民族も多くあるらしい)、辺境に入植していく漢民族と地元民の交流もほとんど消えているとのこと。
入植ばかりでなく、ツアーで異文化を味わいに団体旅行が押し寄せることも書かれていたが、コロナを経てますます活気づく中国の国内旅行はどんなふうになっているのか。
東北部ハルビンの雪まつり、雲南のタイミャンマー寺院ツアー、ウイグルのイスラームツアー。いくらでも想像がついてしまう。
昔はチベットに行ったというと、なんだかものすごい冒険のように感じていたが、わたしの知り合いの中国の若い女性はたった二人でレンタカーでラサまで行ったという。信じられないけれど、それが今の中国なんだろう。
チャレンジャーな著者で面白く読んだ。中国は本当に大きい!






