
Sanae
@sanaemizushima
Reisen und Lesen
旅行と読書が好きです
- 2026年7月9日
ルーツ 上アレックス・ヘイリー,安岡章太郎,松田銑読み終わった去年、西アフリカのセネガルからギニアビサウを陸路で縦断。そのときに渡航したのがガンビアで、ガイドブックにアメリカのテレビシリーズでも有名になったというクンタ・キンテという主人公の「ルーツ」の舞台となったところがある、とロンプラで読んだ。セネガルのゴレ島には行ったが、主人公が生まれたジュフレの村や博物館などは日程も合わず、あまりにも情報が少なくわからなすぎていかなかった。 そして本も入手困難レベルで諦めていた。 しかし思いがけず知り合いの本棚を眺めていると、持っていたのでお借りして読む機会に恵まれた。 「奴隷の悲劇」とは本当に大きな括りで、具体的に考えることもできなかったこと(何しろ経験していないことは知るまでは想像すらできない)が物語に溢れている。 アフリカのかつての暮らしや、奴隷船の環境、渡った先の一世と二世の違い、連行された一世の中にもそれぞれの性格によって従順な人もいれば主人公のような反抗的な人もいる。支配者に利用された(黒人から見れば裏切り者)もいるし、支配者の中にも人間性のある者と、どこまでも酷い者がいる。 白人の記録による物語ではなく、主に黒人の伝承によって編まれた物語。 知ればそうだよなと思うことも、読むまではわからない。 下巻の展開もまた想像を超えてくるのはわかっているので、心して読む。 - 2026年7月6日
在日サッカー、国境を越える木村元彦読み終わった1章から3章までは在日コリアンのアン・ヨンハ選手のサッカー人生について。彼の人柄とサッカーの才能が日本と韓国、北朝鮮を結ぶ。何度も涙腺が緩んでしまう。スポーツって心を揺れ動かす何かがあるなぁ。 アン・ヨンハはアルビレックス新潟(新潟!)でプロデビュー、その後、韓国のKリーグでも活躍。 かつては「韓国でプレーしたのならば裏切りと捉えられて、二度と代表には呼ばない」というのが定説だったものの、彼の人柄と実力、周囲の理解もあって2009年北朝鮮チームのW杯代表として出場したのだそうだ。 北朝鮮のパスポートなので、海外移籍や国際試合など、煩雑な手続きを踏まなければならないこと、時にはビザがおりず渡航できなくなることなどもあるが、弱音は吐かず、たくましい彼はひょいっと国境を越えてしまう。 4章が面白くて、私は全然知らなかったConIFA(コニファ)について。 FIFAには登録されないサッカーチームの構成で低予算ではあるが世界大会が行われている。サッカーは世界で最も人気のあるスポーツなので、こういう親善交流があることが頼もしく思える。 ①多くに承認されていない独立国家(ナゴルノ=カラバフなど)、②ディアスポラのチーム(ロヒンギャなど)、③住んでいる国と異なるアイデンティティを持つ構成(クルドなど) 在日コリアンのチームは③に該当し、参加した様子が書かれている。 チベット、トルコに住む西アルメニアのチーム、北キプロス、サーミ、タミル、アルジェリアに住むベルベル人・カビリア、ウクライナに住むハンガリー人・カルパタリヤなど。 ここで書かれないと知らなかったであろう人びとがいて、世界は広いと思った。 今回のW杯でも今まで注目を浴びていなかった選手や国が活躍している。汚職に塗れた金儲けにしか見えなくなっていたW杯という大きな世界大会だったけど、純粋なサッカー愛という、いいところを見てポジティブに捉えることも大事だなと思った。 そしてアン・ヨンハの半生を読んで、現状に文句言ってるだけじゃなくて、私も何かできることから少しずつ考えて動いていかないといけないなと気づかせてもらった。 - 2026年7月3日
ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴くナオミ・クライン読み終わった都市伝説や陰謀論のように思えるけど、本当にあった話。じっくり読むと悲しくなって体調を崩してしまいそうなので、ざっくり読んだ。 触りだけ知っていた国外での大きな事件をきっかけに、大金を手にする資本家たち。 自分の利益に損はない形で、よその国を使って経済実験を行う学者たち。責任を問われる前に抜け出すさまが巧妙。 「あらゆるイデオロギーは堕落しやすいものだし、新自由主義者の中にも誠実な人間がいるのはたしかだ。だが、とりわけシカゴ学派の経済学は、腐敗を助長しやすいように思われる。利益や欲望を大規模に借り立てることが、いかなる社会においても可能な限り最大の利益をもたらすと言う考え方といったん受け入れると、個人を豊かにするほとんどすべての活動は、それがたとえ自分や仲間だけを利するものであっても、富を生み経済成長を促す創造的な資本主義の活動に貢献するものとして正当化する事は可能になってしまうからだ。」(p332) 2007年に書かれた本で、行き着いた先が今2026年、このような状況なんだろう。 下巻も辛いけど、タイミングを見て読むつもり。 - 2026年7月2日
- 2026年6月27日
世界の果ての本屋さんルース・ショー,清水由貴子読み終わったニュージーランドの最南端で本屋を営む女性の自伝。自分の「好き」に真っ直ぐな生き様。 さまざまな人生の困難にもめげずポジティブに生きる著者は素直にかっこいい。 ひとつひとつの章が独立しているので、寝る前に少しずつ読むのもいいなと思いながら、、、 そう思いつつ夢中であっという間に読み切った。 - 2026年6月27日
戦争と芸術の「境界」で語りをひらくチョン・ユギョン/Jong YuGyong,チョン・ユギョン/Jong YuGyong,山口祐香読み終わった「国家を前提とした政治的な応酬や文化交流が行われる日韓関係を『A面』としたとき、こちらはもう少し玄界灘の潮や土の匂いがする『B面』の日韓関係を紡いでみようとするささやかな挑戦」(p85) と著者のお一人である山口祐香さんがおっしゃっているように、著者おふたりが経てきた経験を通じて韓国との関係を示してくれる本。 陶器の街・有田から見えること、外から有田がどう見えるかということ、国家があり、民族があり、国境がある。 チョン・ユギョンさんの作品もそれぞれに解説があり、作品を見ながら考えさせられる。新鮮。とても素敵な本だった。 - 2026年6月26日
京大マガジン 0号「失敗」京都大学総合研究推進本部読み終わったどれもとっても面白く読んだ。 いろんな研究をされている方がいらっしゃるのが心強いし、違う分野の方と話すのはとても刺激的。フィールドが違えば違うほど、切り込み方も新鮮でノーベル化学賞を受賞された北川進さんの対談のお相手が中国哲学の専門で、その切り込みから展開されるお話の意外性に目が覚めるようだった。 次号も楽しみです。 - 2026年6月24日
血肉となる読書安田登,小川公代,斎藤幸平,秋満吉彦読み終わった100分de名著にも登場したお三方の読書との関わり。そしてこの番組のプロデューサーがお三方の論じる内容や番組づくり時のエピソードを交えた読書論。 斎藤さんも安田さんも読書している時に違和感やわからなさを感じたら違和感を違和感のまま、わからないまま一旦飲み込む、ということをおっしゃっていて、このことは心にとどめておこうと思っている。 小川さんは何か衝突するものがあるときに、「妥協」と他者との「対話」を選ぶ考え方こそが「ケアの倫理」(p102)と論じられていた。 こういうことを実生活の中で感じる場面がある。(私には良心が少なかったり、流されやすかったりするせいか、そのように感じないことも多かったかもしれない) わからなさと向き合う、ということを教えてくれるのが読書だよなぁとしみじみ思う。 そして知りたい欲ががひとつ解決すると、また次の欲が出てくる。これも読書の良さのひとつ。小川さんの本棚ビオトープは真似してみたい。本を並べ替えて見えてくるものが違うって確かにある。 - 2026年6月24日
朝鮮植民者斎藤真理子,村松武司,松井理恵読み終わった日本では「引揚者」という言葉は聞いても「植民者」という言葉はあまり聞かない。 「多くの植民者がいたにもかかわらず、いまその記録が近・現代史から欠落している。このまま放置すれば彼らの歴史は失われてしまうであろう。彼らを眠らせてしまうのはかまわないが、日本の現代の意味をつかむために、たいせつな歴史の支流を無視することになりはしないか、とおそれる。」(p5) 深く考えることなく、斎藤真理子さんの推薦ということもあって読み始めた本だったけど、読めて本当に良かった。朝鮮に移り住んだ人びとがどんな気持ちで暮らしていたのか。構成は作者は祖父からの聞き書きを基に記した本だが、それだけでなく、作者は3世としてどのように朝鮮人と接していたのか、考え、対峙していたのか。終戦を迎え日本に帰国し、振り返ってどのような心境に変化したのか。 朝鮮で3.1運動が起きたとき、著者の祖父は「きわめて静かであった」とだけ語っているそうだ。 それより前に起きた朝鮮軍人蜂起については、個人的な体験を生々しく語ってくれたにも関わらず。 著者は「彼の眼前からすでに朝鮮人像が消えたということ。」(p136)とひとつ理由を推測する場面がある。 蓋をし、多くの植民者に意図的に見えないようにする。今のイスラエルの行っている物理的なこととして、壁を作ること。それと同じなんじゃないか、と思った。 そういうことも今まで知ることも全くなかったので、大きな歴史の流れの中にあった個々人が生きてきたことを赤裸々に伝承し、そして斎藤さんをはじめ多くの方が戦後80年にこの本を復刊させたということは大きな意味があるように思う。 - 2026年6月22日
韓国の今を映す、12人の輝く瞬間イ・ジンスン(이진순),伊東順子買った - 2026年6月20日
大邱の敵産家屋松井理恵読み終わったこの本は狙って買いに行ったものではなく、本屋の棚から偶然見つけたものだった。ちょうどこの後に読もうと思っていた「朝鮮植民者」に解説を書いている方が著者だということで、いい巡り合わせで読むことになった。 大邱は保守の牙城とも言われており、今回の選挙でももちろん保守が勝った。しかしそんな大邱は「朝鮮のモスクワ」と言われるほど、植民地期から左派が多い都市として有名だったそうだ。朴正煕による徹底的な弾圧で激変、改めて朝鮮半島の軍事政権下の凄まじい動きを感じた。 大邱に入植した日本人によって作られた建築物を日式家屋、韓国人の間では敵産家屋と呼ぶ。それが北城路に多く残されており、50年代には町工場となり、2000年代に郊外に移転するまでのエピソードが印象的だった。若くして工場に入り、実践で身につけていった高い技術を持った職人たち、その職人同士の協力体制。読んでいて痛快な気持ちにもなる。 そして、2000年に入ると郊外に大きな工業団地ができ、散り散りになった職人たちの行方、残された北城路の地域創生の苦戦、丁寧な取材でとても面白く読んだ。 どうして45年朝鮮解放後も敵産家屋を使い続け、さらに郊外転出したあとの古い家屋も壊さずに使い続けたのかという疑問に著者はナンシー・フレイザーをひいていた。 「植民地支配の痕跡を色濃く残す北城路の保全が、現在のグローバル化する新自由主義資本主義への異議申し立てとなりうるのではないか。」 「敵産家屋は市民運動の抵抗の拠点となる」 (p175) 侵略された歴史を持つ国が、どのように考え、まちづくり、社会づくりを進めているかということ、こないだ韓国の大統領も言ってたけど、“真のパートナーシップを築くためには”って、私たち日本人はもっと韓国のことを知る努力をしなきゃいけないんじゃないかと思った。韓国はずっと胸襟を開いて待っている。 この研究を本にしてくださった著者に感謝したい! - 2026年6月15日
少年が来るハン・ガン,井手俊作行ってみた@ 光州5.18民主化運動記録は2011年ユネスコに世界記憶遺産に登録。 実際来てみて、光州には民主化の遺産を語り継ぐための施設がたくさんあることが分かった。 読んでいて本当に痛みを伴う。だけど読まずにはいられない。 トンホが向かったであろう尚武館、人びとが献血に並んだ赤十字病院。 残された資料をもとにハン・ガンは書いているので、実際にある建物であることは頭では解るのだが、気持ちがまだついてこない。 日曜だったこともあり、民主広場では歌を歌う人、ものを売る人、気持ちに良い風に吹かれてゆっくり座る人、何か意見を訴える人、いろんな人がここに集っている。 今はっきり分かったのは、彼らの闘いのおかげで、光州は平和だということだけです。 こちらもまたもう一度読み直す。
- 2026年6月15日
奔放な生、うつくしい実験サイディヤ・ハートマン,ハーン小路恭子,榎本空読み終わった本屋B&Bでハーン小路恭子さん、翻訳された榎本空さん、中村隆之さんの解説のあとに読めてよかった。 奔放であることが彼ら自身の存在意義なのではないか、この本で使われる「うつくしい」とは、世にある美しさとは違っているが、わたしにとっては、うつくしさの定義を広げてくれるよう。 - 2026年6月15日
カジムヌガタイ比嘉慂読みたい - 2026年6月13日
別れを告げないハン・ガン,斎藤真理子行ってみた@ Jeju Island痛みには心にも身体にもいろんな種類があって、その痛みを自分なりに受け止めるということを教えてもらった本だった。 そして、受け止めるために済州島にある平和公園に行ってきた。 雲ひとつない完璧な天気の下、沖縄民謡にも似た歌が聴こえる。子どもを抱きしめ倒れる女性の像がある。同じ日に亡くなったと記される墓石が並ぶ。 また気持ちを整理して、読み返したいし、「火山島」も読みたい。
- 2026年6月8日
国ってなんだろう?早尾貴紀読み終わった主に中学生向けの本。図書館が新しくなり、10代の棚が見やすく充実していて嬉しい。 このタイトルで、著者が早尾さん、パレスチナ・イスラエル問題の流れになるのは知った上で借りて読んだが、ヘビー級だった。 原発問題、人種・性別などの差別、明治維新からの歴史、憲法9条などなど幅広いテーマが易しい言葉で語られるものの、決して読みやすくはない。ひとつひとつ考えて読み進まないといけない。 だがしかし、子ども向けだからといって単純化しすぎないように説明するのは大事だとは思うし、私自身も「どうして政府に異議申し立てのデモにパレスチナの問題が出てくるの?」と聞かれて、きちんと自分の言葉で説明できるかどうか自信がなかったので、整理するきっかけになった。 梅雨の不安定な天気で頭が痛いせいもあるのだろうか、読むのに苦戦してしまった。 早尾さんの著書はまだ読みたい本がたくさんあるが、扱うテーマがシビアなので体調が良い時にきちんと読みたいと思う。 - 2026年6月7日
イスラームからお金を考える長岡慎介読み終わった止まらない経済格差を何とかしようと、心ある学者さんがさまざまな提唱をしているが、イスラーム経済もそのひとつ。10代向けに書かれた本でわかりやすかった。 出資する人、出資される人がいて、出資する人にも金を出す以外にも得意な分野があり、共同で仕事をする。そして儲けが出たら分け合うシステムであるというムダーラバ。 これを活かした形でイスラーム社会には無利子銀行がある。 経済危機を経て、ムスリムの多い国に無利子銀行ができ、マレーシアではムスリム以外の利用も増えているんだという。 利子を取るという意味では日本の銀行はちょっと違うけど、地元銀行や信用金庫はお金だけじゃない行き来がある。(あった、というべきか?) こういうところに活かせないものかと著者さんはおっしゃっていたが、今のNISAゴリ押しやネット銀行で手数料を抑えるというのが今の銀行の流れであるような気がする。そうじゃなくて、もっと本質的なところに戻った方が、もっと人と人がお金を介しても優しくなれる気がするなと思った。 イスラームは利己的なこと、お金儲けを否定しないところから始まり、それが徳を積むという目的達成の手段として人助けも行われる。寄付はそういった意味で自然の流れ。 最初の方に「インシャーアッラー」の説明があった。直訳すれば「神がお望みになるなら」で、外国語に訳す時には「願わくば」となる。 なので、何かお願いした時にこれを言われるとドキッとする。(あちらの人はいいですよ、くらいの感覚で使う) だから何かのトラブルでこちらの依頼に応じられなかった場合でも謝罪は期待できない。 出資する人が出資した相手がしくじった場合にも同じことが言えて、金返せ!というふうにはならないというのがとても新鮮だった。 イスラーム社会でもデジタル化の進みが急速ではあるが、お金の流れに人間らしさや温かみを感じられるようなところは忘れていない。そういうところ、真似したい。 - 2026年6月6日
私という群島(1013)今福龍太,福島亮聴いた@ 本屋B&B本屋B&Bでの出版記念イベントの見逃し視聴をようやく。 今福龍太さんのお話は引き込まれる。そして中村隆之さんとこの本の編者・福島亮さんの真摯な言葉の響かせ合いや、お二人の今福さんへの敬意の念に溢れたとても素敵なイベントが映像からも伝わってくる。 じっくり読むのが楽しみ。 - 2026年6月4日
読み終わった台湾の友人がいて、かれこれ長い付き合いでいろいろ話してきたつもり、だけどやっぱり踏み入って本音を聴けていないような(それとなく話してくれていても、わたしが理解できていないだけかもしれない)。 日本人に話すことでもないと思っているのか、いろんな理由はあれど、やっぱり彼らのことをちゃんと知りたくて、いろいろ本を漁っている。 温又柔さんの本を読んでいるとハッとすることも多いので、こちらも手に取って読んでみたけれど、やっぱり本当に日本人である私は知らないことがたくさんだった。 日本人である著者が台湾で家族を持ち、スピヴァクから「誤解を恐れずに言ってしまえば、当事者として腹を括った上で書けということ」(p223)と勇気をもらって書いた本だとあとがきに綴っている。だから、うわべをなぞっただけで知った気になるような内容ではなく、響く内容だった。 台湾らしさを追求する中で、台湾の原住民にもスポットが当たりはじめ、10年くらい前だったか?旅行で行った時にも、少数民族について知るイベントがたくさん開催されていたし、今はあんまり見ないけど、伝統衣装を着たかわいいマスコットがお土産屋さんに売られていた。かわいいのでひとつ、と思うけど、政府公式では16あるとされ、おそらくそのマスコットも16あったと思う。どれかひとつ選ぶというのはすごく失礼な気がして、結局買わなかった。 「原住民はけっして『博物学的』に存在しているわけではありません。」(p169)と著者は言い、このことを思い出した。マスコット、かわいかったからいいんだけど、、、 中国らしさを受け入れつつも、中国であることは否定する、サイノフォン・スタディーズ(華語語系研究)の紹介もあった。 これは数年前に白水社から刊行された「華語文学の新しい風」という本が日本にはある! この本で中国や台湾以外にも華語で書く作家がいるんだということを知り、面白く読んだのだった。ボルネオ島にロングハウスという棲家があることを短編のひとつから知り、実際に行ってみた。それが去年。ちょうどこのシリーズの第二弾「南洋人民共和国備忘録」を手に旅行したのだった。 結局、ロングハウスのことは詳しく分からなくて、それについて研究している人が本を出しているのを知り、只今「ボルネオ森と人の関係誌」を積読中。いろいろ繋がって面白い。 台湾のこと、華語のこと、もっと知るのが楽しみ。 - 2026年6月3日
あらゆることは今起こる柴崎友香読み終わった柴崎友香さんがADHDと診断され、自身のことを綴ったケアシリーズの一冊。 これを読んで、私があーだこーだと言うことはまだ理解が十分ではなく、誤解を含んだものになりそうなので気をつけて書く。(この本に限ったことでもないのだが) 広く言われているところのADHDの知識しかなかったけれど、当たり前のことながら症状というか特徴は人それぞれで、さすが小説家の柴崎さんは自身を分析して描かれているので、とても興味深く読んだ。 診断を受けるのは周囲の人がレッテルを貼るためではもちろんなく、その人自身が生活する中で納得するために診察を受けたい人が増えているというのはなるほどと思った。自分が周囲に迷惑をかけている、という精神的な苦痛がどこからくるのか、診察を受けてわかったら、解放はされないけれど、ラクになれるはず。 この本を読んで反省というか、振り返って今後変えていかないといけないなということが多くあった。 「『人の気持ちががわからない』『空気が読めない』に対して、では『人の気持ちがわかる』ってどんなことなのか、『空気が読める』ってどんなことなのか、と考えてしまう。」 「『あなたのためを思って、せっかくやったのに』と言われて戸惑ったりつらかったりした経験は、いわゆる空気が読めて、思いやりのある人でもよくあることだと思う。」(p145) これと言って心当たりがあるわけではないけど、する側にもされる側にもなるので個人的に気をつけていこうと思う。 「片付け系Instagramをフォローしていると、自己啓発系の投稿がやたらと表示されるようになってしまった。(略)そして自己啓発系は、役に立つ場面もあるけれど、政治や社会を変える発想ではなく、自己防衛に向かうのでそのうち投資アカウントばかりが出るようになり、なるほどなぁと思ったりした。」(p184) あんまり発達障害関係ないけど、私もこの現象なんなんだろうなぁと思って見ていたが、私は柴崎さんの”自己防衛に向かうので“に、なるほどそういうことか!と思った。 柴崎さんの小説の面白さの裏側を知ることにもなったし、ADHDとともに生きる人のひとりの方の考え方を知ることができ、お人柄も(友達との距離の取り方よくわかる!)好きになった本だった。
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