
花春
@haru-tuge
2026年5月26日

やくやもしおの百人一首
久保田香里
読み終わった
絵本・児童書
百人一首かるたの「こぬ人を まつほの浦の 夕なぎに やくやもしほの 身もこがれつつ」の取り札(の付喪神)が、消えた相棒の絵札を探しに、藤原定家の元へタイムスリップして人間の女の子になり、百人一首が成立するまでを追う話。
全体的に構成と設定が上手い…!
主人公の目的意識がはっきりしているから物語の筋がブレないし、人に作られて愛されて継がれてきたかるたなので人が好きだし好奇心旺盛だし世間ずれしてないけど気にしないし…といった主人公の人物造形に無理がないし、天から落ちてきたのを見られてるから後世のことを喋ってたり平安には無い文化で接しても「天の言葉、天の様式なのだな」とおおらかに受け止めてもらえてさらりと進んでいくし。
歴史の下地をしっかり知ってる作者さんなのだろうなあと感じる。でも歴史知識を詰め込むだけではないというか、お話として純粋に面白い。引き算が上手い?のかなあ。
武家社会に移ろいゆく平安の世の不安定さは描きつつも、前向きにその世界を楽しめる感じがとてもいい。読んでいて楽しい。
現代のこどもの知識量に合わせて説明を多めに入れつつも、解釈が定まっていない部分は断定せず、「もしかしたらああだったかも?」の余白を残しながら「今回はこういう解釈で」としてるあたりが好感が持てる。
百人一首ってそうだったんだ!?を物語に沿って知れるのいい…頭に入る…。
登場人物もみんな素敵。定家さんいいひとだ〜!とか、この藤原信実の娘の薫って実在のひと? → ググる → なんかそれらしき人が複数ヒットするけどどの子だ…!?とか、偉人の名前を好印象で覚えたり、そこから自分で調べたいなと思わせるのが上手い。
「松浦宮物語」とかも初めて聞いた。定家の作と言われるけれど定かではない…ほほう…。
この作者さんのお話をちまちま読んでるのだけど、どの話も面白い。良い作者を知れた…。
