橘海月 "スイッチ 悪意の実験" 2026年5月26日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2026年5月26日
スイッチ 悪意の実験
心理コンサルタント安楽の実験に参加することになった、小雪を始めとした大学生や大学関係者六人。彼らに渡されたのはスマホを介したスイッチ。これを押すと家族経営しているパン屋の資金援助が打ち切られ破滅する。期間は一月で参加報酬は百万以上。何事もなく1ヶ月が過ぎるはずだったが…。 思わず一気読みするくらい面白かった。スイッチを押すかどうかのワンセンテンスを魅せる展開にも、それらに影響する登場人物の設定にも、まさかの事件とそれに関連する“犯人”探しにも、どれもいい意味で予想外で引き込まれた。途中の悪の定義や宗教的な考え方も、ともすると脱線になりがちなそれらも物語から浮かないバランスの良さだった。 何より主人公小雪の人物設定が上手い。フラットで感情に流されない人物かと思いきや、過去の出来事から自己の選択を放棄しコインの裏表で決める極端な生き方、そしてそこからの変化や探偵としての思考。極端なキャラが多い中、彼女の普通であり同時に並外れた箇所に好感が持てた。物語だけでなくそうきたか!の場面もあって、ミステリとしても秀逸だった。文句なしにおすすめ。
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