ペンアブ "スロウハイツの神様(下)" 2026年5月28日

ペンアブ
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@ddd_kool966
2026年5月28日
スロウハイツの神様(下)
なるほどなぁ…………いいじゃん。 上巻はエンヤくんが出てくる四章以外、どんな気持ちで読めばいいのか全然分からなかったし、下巻も序盤はかなりキツかったけど、でもこれはなあ……。嫌いになれない。 まず最初に驚かせてくれたのは第十章。 赤羽環の過去が語られるのだが、ここがかなり良い。環の母親の誕生日エピソード。ここの文章が読めただけでも個人的にはかなりグッときた。 さりげないけど司書さんのくだりも良いのよ。 傾向としては先述の誕生日のエピソードと似ているのかもしれない。 ああいう微笑ましさとやるせなさが同居したような話が、私の琴線に触れるのだろうか。 なによりこの第十章では、環の過去が詳細に語られることによって、今まであまり興味が持てなかった彼女に深みが生まれた。 キャラクターに上手く感情移入できていなかったので、その反動もあり、この章は特に印象づいている。 第十一章で加々美がキレるところも印象的だった。環の行動に対して2回も毒づく彼女。 これに関しては、私がああいう側面を見せてくれるキャラが好きだからだと思う。他の読者はこのあたり、どう感じてるんだろうか。 ああ、あと十一章は最後のエピソードも欠かせない。環がニュースを見て帰宅する話。ああいうのもね、好きよ。 で、第十二章。 想定外の真相が明かされてちょっと困惑したんだけど、あの二人の対立構造には痺れた。美しい……。 最終章は、ここまで理性的であろうとしていた小説の倫理観が急にぶっ飛ぶんだけど、しかしそれが良い。 倫理観うんぬんを言えば、『コーキの天使ちゃん』が語った、自殺志願者に対するコメントの方が私は気になった(当の彼女自身も自殺を考えたことがある、という前置きを考慮すべきなんだろうけど、それでも気になった)ので、最終章は純粋に好意的解釈をしている。 どうなんだろうね。 集団自殺を望む気持ちを弱いと称した天使ちゃんと、マスコミに対するチヨダ・コーキのコメント、どっちが非道徳的なんだろう。私には分からん。 ……期せずして暗い締め方になってしまったけど、この小説は好きだ。 むしろそうした暗い部分があるからこそ、この小説のテーマである「愛」というものが、象徴的になるのだろうから。
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