
はるき ⚠︎ネタバレ有⚠︎
@reads_hrk
2026年5月28日

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)
西加奈子
読み終わった
西加奈子さん、初めまして。
インタビューやトーク番組はたまに見聞きしているのだけど、著書を読むのはまさかの初。
文章のテンポがよく、読みやすいなぁ。
自分が置かれた状況をどう解釈するかで、幸不幸は決まる。
現状からなにを拾って眺めるかは、自分で選べるのだ。
といっても、苦しい状況の中で小さな幸せに目を向け続け、前向きでいられるかは、難しい。
難しいことを当たり前にやっているから、誰もが肉子ちゃんの側では笑顔になってしまう。
なんか、大丈夫な気がしてくるから。
肉子ちゃんのようにはなりたくないけど、それでも、肉子ちゃんを好きになってしまうのだ。
キクりんの「今のままでいたい、何も選びたくないし決めたくない」というのは、どう抗っても変わっていく体と心へのささやかな抵抗なのだと思う。
自分が存在することへの罪悪感なんて、どんな人も抱えなくていいはずだけど、一度抱いてしまうと、手放すのは難しい。
抱えていた思いを吐露したあと、キクりんの心と体は一つ大人に近付いていく。
人は、安心して間違ったり恥をかけたりする場所で、安心して成長することが出来る。
キクりんはこれから、沢山間違えたり、恥をかいたりするんだろう。
あの小さな漁港で、おかしな家族の中で、成長していくのだ。
その人のままで、少しずつ変わることを丁寧に描いた物語だった。
アニメ映画も観てみよう。