
Ryu
@dododokado
2026年5月28日
砂の降る教室
石川美南
読み終わった
体育館の窓どくどくと脈打ちてスペイン舞踊部の活動日
「怒つた時カレーを頼むやうな奴」と評されてまたふくれてゐたり
親知らずの治療控へてゐるごとき夕立雲を見上げをるなり
木洩れ日が壁に描くのは冬眠と冬眠の間の短き日記
くすくすくすくすの木ゆれて青空を隠すくす楠の木ひとりきり
四六時中見らるるは憂し明け方は肩回しなどしてゐる桜
もつと熱き喧嘩するためスペイン語を習ひ始めぬ verdeは緑
百匹の猫引き連れて海に行く気分 にやりと君が笑へば
助走なしで翔びたちてゆく一枚の洗濯物のやうに 告げたし
梅雨を飲む咽喉こくこくと鎌倉は緑の中に埋もれゆくなり
実朝が軽き頭痛を訴へてだらだらと寝てゐるやうな海
白い僧が雨の奥より現れて朝から待つてゐましたといふ
百文字の回文を考へてゐるやうな葬儀の列に加はる
なまぬるき夜風/生きたし/怒る姉/生きたし/怒りながら/生きたし/
スプライトで冷やす首筋 好きな子はゐないゐないと言い張りながら
隣の柿はよく客食ふと耳にしてぞろぞろと見にゆくなりみんな
虫籠に三面鏡を入れておく太り過ぎたるクワガタのため
怒る岩(またの名を犀)眠りつつかすかなる地のざわめきを聞く
ちりちりと痛む指 君は満開の金木犀を褒めすぎてゐる
