
内田紗世
@uchidasayo
2025年3月22日

読み終わった
再読。
読み直すとまた更に面白い。
最初に読んだときは父親の無理解や中園の葛藤などが心に残った。再度読んで思うのは父親のことだった。息子は東京藝術大学に現役合格、ギャラリストの小山に才能を見出され個展を開催、絵は数百万で取引される。天才と呼ばれる。こんな子供のことを体育教師だった父に理解できるはずがない。生活能力が低いー、自分のしつけが至らなかったのではないか。ご飯も食べずに痩せているー、何故食べないのか、身体が資本なのに。絵で食べていくなんて無理に決まってる。子供の頃から海によく連れて行って遊んだ、バスケットに夢中になっていた次男が高2の夏に突然絵が描きたいという。何故?
家を出ていくなら壁の絵を消せと言った。もし残っていたら、一体いくらの値がついたかしれない。俺の建てた家を汚すなと父親だから言えた。それがどんなに酷なことでも、子供を傷つけたとしても。彼の絵の価値が分からない、それは親が子を認めないということではないだろうか。良くない。だが自分たちから天才が産まれてしまった場合の対処法なんて見つからないだろう。
中園には絵があった。ご飯やお風呂、掃除よりも優先すべきことだった。そういう自分とはまったく価値観の違う人間が親子であることもある。

