
テーヒョン
@Taehyeon
2026年5月30日
坂の上の雲 七
司馬遼太郎
読み終わった
単行本で読んでいるので、文庫版とは章がずれている。戦局は、国の存亡を賭けた乾坤一擲の戦い、奉天会戦へ。『白鯨』的な寄り道も含みながら、大規模な戦闘を描き、今度はミクロ的に敵将クロパトキンの心理分析までしてみせる巧さ(=攻勢より守勢に集中しがち。玄人すぎて日本軍の素人戦法が読めず)。単行本の著者あとがきが秀逸。「子規の下宿を去ってゆく真之の背中というのは、そしてそのくだりまでは私の心象の中の真之の像が大きいのだが、そのあと真之は海軍という一種の人格性をもった組織の中に入ってしまってからは小さな粒子にすぎなくなる。陸軍にいる好古においてもおなじ情景である。その粒子になりはてた者たちをえがくには、むしろかれらそのものをとらえるよりも彼等の属した組織を人格的な部分でとらえざるをえず、さらにはかれらを埋没させたその組織がもっとも人格的な側面を過熱させたのは、時期的にはロシアとの対決であった」