ゆい "みんなの近代短歌" 2026年5月30日

ゆい
ゆい
@no1sin
2026年5月30日
みんなの近代短歌
一首ごと、各歌人ごとに鑑賞と解説が付された近代歌人15人の代表歌550首のアンソロジー。 古い言葉遣いの読み解き方をはじめ、一首の中でのカメラワークやその短歌の韻律が表そうとしているものについてなど、痒いところに手が届く説明がありがたい。 端々から編者の近代短歌への愛が伝わってくる一方、時折身も蓋もないような冷静なツッコミやまとめが挟まるところも面白い。 各歌人をもっと知りたくなった人向けのブックガイドも入門者にやさしく丁寧で、編者の圧倒的な読書量が窺える。 自分は若山牧水と土屋文明が好きらしいとわかった。与謝野晶子はおもしれー女すぎる。 > 実のところ、関東大震災後の白秋は愛国詩人としての性格を強め、国威発場歌の作詞もはじめる。童謡という無邪気な抒情にも、植民地主義思想は根を張っているのである。異国の暖炉を、郷愁の中に包み込んでしまうのだ。 白秋の抒情は耳心地が良い。それだけに、特に後期の作品については、何が心地よく描かれているのかに注意して耳を傾ける必要がある。(P.131) > 例えば、啄木は関東大震災を経験しなかった。牧水は日中戦争下の軍国主義を経験しなかった。晶子と白秋は戦争末期の疎開を経験しなかった。茂吉と迢空は戦後の高度経済成長を経験しなかった。もちろん、全ての歌人が経験した社会事象を短歌に反映させる訳ではない。それでも社会的な大事件は、それを経験した人々に精神的な影響をもたらす。(P.278) こういった歴史的な解説をしてくれるところも嬉しい。
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