
FJHRYK
@fjhryk_1221
2025年3月23日

「無縁」や非農耕民への注目など、網野さんの基調を踏まえつつ、南北朝の動乱前後で中世日本の社会はどのように変化したのか、そのとき宗教が資本主義的な経済活動に果たした役割は何かあったのか、といったことが論じられる。
また、非人や遊女、悪党など、現在では否定的に捉えられがちな人々が、かつては供御人(くごにん)として朝廷に属し、天皇との結びつきが強い聖なる存在と位置づけられていた点をふまえ、それもまた南北朝の動乱後の朝廷の権威低下にともなって賤しい存在とみなされるようになってしまったという論点もある。
農耕だけに限られない百姓の多様な経済活動からの収入をうまく集計、整理し、彼らや他の役人たちとの折衝、相場を見極めての売買など、多様なスキルセットを求められた代官の実像など、面白い個別の論点も多く、読みごたえがあった。

