みーる "妻はりんごを食べない (幻冬..." 2026年5月30日

みーる
みーる
@Lt0616pv
2026年5月30日
妻はりんごを食べない (幻冬舎単行本)
タイトルの引きに釣られて読了。全体的に静かな雰囲気で展開も比較的ゆっくりめ。タイトル回収も驚くようなものでもない。ただ、妻が帰ってこないってだけの話。それが「なぜ」かが気になるところではあったが、その理由には肩透かし感が否めなかった。物語の締め方も「え?これで終わり?」と誰が読んでもなるだろう。 だか、考えれば考えるほど、この終わり方にこそ意味があるのではないかと思えてくる。要は、妻の思い込みからくる勘違いが解消される終末。その後は描かれていない。読者からすれば「いや、そんなこと話しておけばこんな大事にならんやろ…」と思ってしまうが、確かに夫婦だからこそ話しづらいことも多くある。なんでも話して共有するのが夫婦の在るべき姿のように思われがちだが、夫婦の間でも知らないこと、話していないこと、わかっているだろうと思っていること、そして勘違いしてすれ違っていること、そのことに気づかずにいることは多々ある。 主人公の暁生も理解のある夫で余計な口出しはしない。一般的に見ればいい夫が故に、夫婦であれどどこか一線を引いているような冷たさも感じる。何でもかんでも介入すべきではないとは思うが、セリフの節々に、相手に委ねる発言が多くみられた。自分はどうだろうか。腹を割って話ができているだろうか。自分の悩みや愚痴を相談するのは苦手だ。自分の中で消化しようとしてしまう。きっと玖美は暁生の思いを知りたかったのではないだろうか。本当はどう思っているのか聞きたかったのではないだろうか。玖美が帰ってこないことにイライラしながら読み進めたが、自分の子供のことを言い出せなかったのも暁生が本当はどう思っているかを知るのが怖かったからだと思う。一心同体のような夫婦もいれば個人を尊重しあう夫婦もいる。ガラス細工職人の「夫婦は熱すぎても固まらないし、冷えすぎると割れてしまう」 夫婦関係には答えはないということだろうか。 そして、子どもを持つ持たないの話。生物学的に判断され、できない人、できる人がいる。残酷だと思う。自分もその不安の中にいる。それ以上に妻の方が不安だろう。不安のバロメーターを合わせる日々や時間やお金をかける日々。 そこから精神的に参ってくる。終わりがないことが1番辛いこと。諦めるラインを決めないといけない。周りを見れば子供がいる。なぜ、自分たちだけ…と思ってしまうのだろう。想像できるからこそ、その状況下での自分がどうなってしまうのかが怖い。30歳でこんなことを言うのも失礼だとは思うが、数ヶ月の妊活でさえ不安はよぎる。今の自分にはタイムリーな作品であった。
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