
izy
@izy
2025年3月23日

なぜオフィスでラブなのか
西口想
かつて読んだ
オフィスラブの指南書、ではなく、オフィスラブという視点で現代小説を読み解く真面目な人文書。
小説から読み取る文化人類学というか、『菊と刀』をよりライトにした日本研究、もしくはフェミニズム批評の入門書みたいな感じもする。
取り上げる作品は田辺聖子や長嶋有、よしもとばなな、綿矢りさ、東野圭吾など多様。
労働・恋愛・結婚の三者が交錯するオフィスラブには、時代背景や社会規範が色濃く刻印されており、その公私混同の描かれ方の変遷を一望することで、現代社会人のリアルな生が浮かび上がってくる仕組みになっている。
セクハラ・パワハラといった問題も見逃さず、「労働とはなにか」を思考する真摯さと、ジェンダーやセクシュアリティの視点が同居する繊細な筆致が魅力的。


