

izy
@izy
本読む映画観るバスケする寝る
- 2025年4月12日かつて読んだキャラクターのかわいらしさよりも、ぎりぎりまで要素が削ぎ落とされたデザインワークのシンプルな力強さを感じる。 確信をもって引かれた線、選び抜かれた色彩・構図。とくに冒頭に載っている静物のスケッチは、「ブルーナは世界をこういう風に見ていたのか!」という衝撃がある。60年以上にわたり人々を魅了してやまないブルーナ作品の核心に迫る本だと思う。 ブルーナといえば、東日本大震災のときに描かれた、両目から大粒の涙を流すミッフィーの絵が印象的。励ますのではなく、悲しみに寄り添おうとすることが伝わる絵だった。災害やテロ、戦争によって日常が容易く失われる世界にあって、揺るぎないシンプルさでブルーナが描くささやかなひとこまは、この上なくかけがえのないものに映る。
- 2025年4月11日アメリカの鱒釣りリチャード・ブローティガンかつて読んだ意味が意味を為さない。感想を書いても、自分のなかで印象を固定化できない。こいつは一体なにを言ってやがるんだ、と、笑い飛ばす読者の横にぽかりと奈落が空いているような小説。 幻想が真理であったってかまわないのだと思う。だって誰かの中で真理であるなら、それは否定のしようがない。何かを考えついてしまったことで、束の間の絶対が生じることもあるだろう。みんなが幻想に耽ったら、平和な世の中になるんじゃないか。イマジンはそういう歌ではなかったか。
- 2025年4月10日
- 2025年4月9日災害とデマ堀潤読み終わった
- 2025年4月8日薬指の標本(新潮文庫)小川洋子かつて読んだ支配・被支配関係の官能が冷ややかな文章で描かれている。「自発的隷属」という言葉がだいぶ知られるようになった昨今、主人公は自由を失ったのではなく隷属を勝ち取ったのだと言ってもよいのかもしれない。 フランス映画になっているようだけど、自分の脳内では標本技術士は長谷川博己か高橋一生。それから、和文タイプライターという古風な代物が重要なアイテムとして登場するが、これは映画ではどうなっているのだろう。
- 2025年4月7日
- 2025年4月6日バベルをこえて──多言語習得の達人をめぐる旅マイケル・エラード,竹内理読み終わった
- 2025年4月5日わたしたちが光の速さで進めないならユン・ジヨン,カン・バンファ,キム・チョヨプ読み終わった
- 2025年4月4日なぞなぞえほん(3冊)中川李枝子,山脇百合子かつて読んだ『ぐりとぐら』の作者による、幼児向けのなぞなぞ絵本3巻セット。見開きに1つのなぞなぞと、そのヒントになる挿絵が載っている。絵が素晴らしいのはもちろん、なぞなぞの文章もとても魅力的で、子どもと一緒に読む大人も十分楽しめる。 たとえば、次のようななぞなぞは、まるで詩みたいだ。 -------------------- シャツのうえに シャツ そのうえにも シャツ シャツ シャツ シャツ きぶくれ まんまる さむがりぼうず コックさん なかせて いばってる (こたえは「たまねぎ」) -------------------- -------------------- わたしのまわりに やってきて ぼうしは さらっていく かみのけは ひっぱる めに ごみまで いれる あばれんぼう (こたえは「かぜ」) --------------------
- 2025年4月3日
- 2025年4月2日どうしても生きてる朝井リョウ読み終わった
- 2025年4月1日ここにいないあなたへ辻仁成かつて読んだ「ない」という言葉は不思議で、「ない」と言われると、かえってその存在が際立つことがある。この詩集でも、「あなたがいない」という否定表現が、あなたの存在を消し去るのではなく、いないあなたの姿をありありと描き出す。 いなくなっても、消え去るものではないのかもしれない。人の頭や心は、ハードディスクのように初期化で真っ白なんてことはそうそうできず、それは薄れていくだけの話。時が経って記憶が曖昧になっても、幸か不幸か、いろんなことをなんとなく思い出すことはできて、いないあなたのことを思い出す限り、あなたの不在がどうしようもなく存在する。
- 2025年3月31日子どもの精神科臨床斉藤万比古かつて読んだ近年、日本の自殺者数は減少傾向にあるが、一方で子どもの自殺率は増加していている。せっかく大人がたくさんいるのにどうしてだろう。 本書には、子どもの心の診療上、欠かすことのできない臨床的専門性のエッセンスが詰まっている。こういう精神医学の良書を読むと、勉強になることはもちろん、人に対して少し優しい気持ちをもてるような気がする。どの文章からも、"みんな生き抜いているんだ"という視点の暖かさを感じる。それぞれいろんな状況がある中で、自分なりの対処で必死に生き抜いてきた、ということに対する敬意がある。いっそのこと、中学校あたりで精神医学を概論だけ必修にしてはどうだろう。
- 2025年3月30日超・東大脳のつくりかた五十嵐才晴読み終わった
- 2025年3月29日がん医療の臨床倫理清水千佳子読み終わった
- 2025年3月28日
- 2025年3月27日世にも奇妙な君物語 (講談社文庫)朝井リョウ読み終わった
- 2025年3月26日野の医者は笑う東畑開人読み終わった
- 2025年3月25日
- 2025年3月24日砂漠が街に入りこんだ日グカ・ハン,原正人かつて読んだパリに移住した韓国人の作者が、移住後わずか6年のうちにフランス語で書いた作品だという。 第二言語で描かれたからか、作品世界に独特の輪郭と遠近感があっておもしろい。 たぶん作者は、猛烈に文章がうまい人だけど、巧みに操れる母語をあえて封印し、自明な言葉や表現を拒んだ。 それによって、寂しさとか、白いんだけどうっすら汚れている空白みたいなものが体に染みこんでくるような、不思議な魅力のある文章になっている。
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