
yomitaos
@chsy7188
2026年6月1日
読み終わった
@ 自宅
本作の主人公が働いているのはwebメディア編集部で、短編の回を重ねるごとにライターとして「成長」していく様が描かれる。ここでいうところの成長とは、数字が取れるという意味だ。それ以外にない。
上司にあたる人物から、IT系企業がコンテンツ事業に乗り出す際、とにかくコスパよく制作ができる対象を選びがちだから気をつけろという意味合いの言葉を掛けられるのだが、これが結末に大きく関わってくる。
webメディアはつくりっぱなしで、後追いをしない。その場の閲覧数が増えればそれが正義で、それにより苦しむ人がいても、救われる人が増えるなら仕方ないと考える。これは私が長らくwebメディア業界にいるからよく分かる。徹底的に無責任なのだ。
本短編集では、そんなwebメディアを中心に数々の事件が起こる。webメディアがあることで救われた人がいるのを言い訳に、なんだか良いふうにまとめられた話もある。これも業界ではありがちだ。しかしもちろんこれは伏線。全webメディアライターが目を逸らしたく現実で幕は下ろされる。
結末を読めば分かるが、澤村伊智はwebメディアという構造の闇を全部わかった上でこれを書いている。業界理解が深くて恐ろしい。もうwebメディアやめたい。