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@chsy7188
居場所を増やすために始めてみました。居心地のよい場所にしたいですね。
  • 2025年8月20日
    論理的思考とは何か
    ビジネスの場では、結論から話すことが当たり前と言われている。それこそが「論理的思考」なのだと、あまり疑っていなかったようにように思う。この本では、まずそれを否定する。 著者によると、論理的思考には価値観に基づく型のようなものが複数あり、目的に合った思考法を選ぶものなのだという。これには心底驚いた。論理的思考はどんな人間にとっても変わらない一筋の柱でなければいけないと思っていたから。 書店のビジネス書コーナーを見渡せばわかる通り、日本にはまるでアメリカ式論理的思考しかないように見える。その思い込みをほぐすのは大変だし、そうだと思い込んでいる上司を説得するのも難しそうだ。しかし、論理的思考は型だから、私たちは学んで身につけることができる。 何でもかんでもアメリカ型の論理的思考のもとで否定してくる人に、対抗できるように他の型を身につけよう。何か、自分が生まれ変わったような気さえする、根底を覆してくれる良本だった。
  • 2025年8月17日
    強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の 弱さ考
    ビジネス書の類で自身の弱さが語られるとき、それは乗り越えた先にあった現在の成功とセットで語られることがほとんど。なんなら、今のビジネス価値をPRするためのエッセンスとして「弱さ」が使われる。ある種の課題解決を求めて手にした本が、軒並みそんな状況だったから、この本を読むかどうかも少し迷った。 決め手になったのは、この本の刊行時点で著者の病は寛解していないし、はじめたてのビジネスが何かしら成功したわけでもないということ。そして、弱さを乗り越えるのではなく、無理にポジティブに受け入れるでもなく、ただ引き受けて弱いままこのロクでもない社会に戻っていく姿に、弱さを肯定しようとする優しさを感じたからだ。 マッチョで断言主義的で、こんな辛い状況を乗り越えた俺凄い!的なビジネス書あるある要素がまるでない。ダイヤモンド社から刊行されているとは思えない。NewsPicksという古巣を否定しているようにも見えかねないのに、どうしても伝えないといけないことがあるんだという強い矜持を感じた。
  • 2025年8月15日
    その<男らしさ>はどこからきたの?
    私は今のところ、異性愛者の男性として生きている。考えてみると、一度として両親から「男らしく生きろ」と言われたことがない。むしろ、祖父母からの家父長制的な叱責から守ってくれたくらいだ。とても恵まれていると言っていい。 しかし学校や会社では、「男らしさ」を暗にも明にも求められることで溢れている。それに耐えきれなくなって何度も逃げ出した経験があるし、何なら今も逃げ出している途中だ。 世の中の空気は広告がつくっている。どれだけ人権意識を高めようとしても、下劣な広告が無くならず、またそれを茶化したり悪ノリして小銭稼ぎをする底辺ストリーマー的な存在が駆逐されない限り、決して改善しないと思う。 私は長らく広告業界で仕事をしているので、その空気づくりに加担してきたという負目がある。この本の影響だけではないが、やっとここから離れるべきだという結論が出た。
  • 2025年8月15日
    イスラエルについて知っておきたい30のこと
    日本・欧米のメディアから情報を得ることが多いと思われるこの国では、ハマースを悪とする報道が多くなる。もちろんイスラエルの攻撃を批判しつつも、問題の根源はハマースのテロにあるとする流れが多い。 元を辿ればこういった列強国の植民地開拓行為の顛末として現在のガザやパレスチナの状況があるわけで、その行為を反省していない国々の報道がハマース擁護に向かないのは、当然と言えば当然。 自分でもよく分からなくなっていたこの中東情勢を、わかりやすく教えてくれたこの本には感謝しかない。 あえて主語を大きくするが、おそらく日本人はあまり現代の中東情勢に詳しくないと思う。迫害された歴史を持つイスラエル側につくのが当たり前だと、無感覚に思っていたりもしそうだ。自分もそういう流れに組み込まれつつあった。 この本では理路整然とイスラエルおよび西洋列強、日本らの欺瞞と思惑が明らかにされている。これを読んでもイスラエルを支持すべきと思えるだろうか?そう問いかけられている気がする。
  • 2025年8月12日
    香港と日本
    中国共産党の犬になりさがる前まではジャッキーチェンが大好きで、幼い頃からカンフー映画の虜だった。そういう意味では香港という「国」に昔から興味があったと言えるが、この本の冒頭で「準都市国家」と呼ばれる存在であることを知り、香港がたどってきた壮絶な歴史をほとんど理解していないことが分かった。 この著者の筆致には心躍る。日本から一緒に香港旅行に向かう流れで、この「国」が中国と緊張感のある関係性を結んでいることが伝わるし、日本と同様に、真の意味で主権国家ではないことを痛感するエピソードも語られる。 香港や台湾が、今のままでいられるのか分からない。ひょっとすると、私が生きている間に地図が変わってしまうかもしれない。香港という「国」が確かに存在していることが生き生きとした文章で綴られるこの本で、ぜひ著者と一緒に香港巡りを楽しんでもらいたい。
  • 2025年8月12日
    文化系のための野球入門
    長らく「野球部はクソ」だと思っていたが、よく考えてみると個別の野球部員というより、野球部的上位下達軍隊型組織の構造が嫌いだったことに気づく。まぁ、設備的にも待遇的にも恵まれており、それを自分が尊重されていると勘違いした、増長する傲慢な野球部員はクソだと思うが。 著者も言っているが、私たちは案外、野球が日本で受容されていく歴史を知らない。下手すると、正力松太郎が現代野球の始祖だと勘違いしている可能性もある(正力自身がそう演出していたのだから、勘違いしていても無理はない)。 この本を通してあらためて知った野球の歴史を知ってもなお、私は高校野球が嫌いだし甲子園神話など破壊した方がいいと思っているが、週末に草野球を楽しんでいるおじさんには憧れる。あれがスポーツの正しい形態だと信じているし、今の私が体育もスポーツも嫌いなのは、国やメディアが野球を神格化してきたことによる代償だと思う。 ライフスタイルスポーツが人気の今、メディアもnumber文学的神格化から離れてくれると、広く楽しまれるものに変わっていくんじゃないだろうか。
  • 2025年8月12日
    物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために
    自分を物語として語らなければならないシチュエーションに、ずっと疑問を抱いてきた。特に就職面接。表向きは自分のためだろうが、結局のところ面接官に良い感情を持ってもらうためだけに、見栄え良く論理的・合理的な人生という物語をつくらなければならない、圧倒的な気持ち悪さがそこにはある。 挙句には、その先の物語として、望んでもいないビジョンやキャリア・夢を接続して語らなければならない。語った以上、それに向かって進む必要性もあらわれ、いつの間にか物語に沿って生きようとしてしまう。その不毛さに疲れ、適応できずにその場を離脱してしまうことも増えた。 自分がおかしいんじゃない。物語を求める世界の方がまちがっているんじゃないか? そんなことを考えていた自分に差した、光のような本だった。もう「何者かになりたい」なんて、物語のような物語は望まない。
  • 2025年7月26日
    逃亡者は北へ向かう
    生まれてこの方、ずっと何かを奪われ続けているような、のんべんだらりとした憂鬱を感じていた。あの震災があったとき、また奪われるのかと唖然としたし、惨事便乗型資本主義を始めてさらに奪い取ろうとしてくる「お偉いさん」の姿を見て、奪われる側はずっと奪われる側のままなんだろうかと悲嘆にくれた。 この小説には勝者がいない。カタルシスもない。だれも救われない。逃亡劇というエンターテイメントはあるが、ずっと陰鬱な気持ちで犯人を追い続けることになる。 それでもこの本を読むべきだと思うのは、希望があるから。今ここにあるものじゃなくて、これから先にある「はず」の、希望。人は希望があるなら生きていける。それを、この終わりかけの日本という国でも感じられる。それがこの本の最大の価値だと思った。
  • 2025年7月23日
    「日本スゴイ」の時代
    参政党という排外主義者たちが多くの議席を獲得するという、亡国の一途を辿るこの国に住まう人に呼んでもらいたい一冊。 排外主義について直接書かれているわけではないが、これはいわゆる「日本スゴイ!」と表裏一体の思想でもあり、2025年の参議院選直後の今だからこそ感じ入るところが多い。 私はこの国で生きていることを強く恥じている人間。まっとうに生き抜いていくためにも、排外主義者と闘っていかないといけない。そう強く思う。
  • 2025年7月23日
    頭の大きな毛のないコウモリ 澤村伊智異形短編集
    自作解説が面白いので、それを楽しむためにも全短編を読んでほしい。小説家が大それた嘘つきであることを、真にわからせてくれる。
  • 2025年7月9日
    近親性交
    近親性交
    日本で起こっている殺人事件の、およそ半数は家族間で起こっている。家族という密室では何が起こってもおかしくない。この本では、その末路で起こるエピソードがいくつもまとめられている。 家父長制は、唾棄すべき愚劣なシステムだと思っている。もうとっくに滅びたことにされているが、世間体と寝て生きる日本人のマインドセットからはなかなか削除されない。いまだにこのシステムを復活させようとする人間がいることに驚くし、なんならそんな連中がながながと国政を担っていると思うと、この国を恥じる気持ちしか出てこない。 家族を聖域にすればするほど、こうした事案は増えると思う。増えたとしても、著者のように明るみに出そうとする人はなかなかいないだろうから、その闇深さに気づく人も少ないまま。 もういい加減、家族を最小単位にする仕組みをなくそう。
  • 2025年6月13日
    禁忌の子
    禁忌の子
    不妊治療を巡っては、倫理的な観点からたびたび議論が巻き起こる。そういった状況を部外者の視点で見ていてよく思うことに、「なんか、どうしても子どもが欲しい親側のニーズ中心だな」という冷めた感覚がある。 産むことを求められる家父長制・家制度の呪縛の残滓みたいなものもあれば、夫婦共同の想いとしてどうしても子供を授かりたいという状況もあるだろうし、一概には言えないことは重々わかりつつも、「生まれてくる子供の人権」については蔑ろにされていると感じる。 この本で明に暗に語られるのは、そんな子供側の人権問題。警察ではなく医師が探偵役を務めるフィクションならではの結末にも、強い納得感があった。これはネットフリックスあたりで映画化されそうな気がする。(民放じゃ無理だろう)
  • 2025年6月10日
    武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別
    人権侵害先進国・日本。 なぜか民主制が根付いた進歩的な国と思われがちなこの国が、どれだけ国連からの勧告を無視し続けている非民主国家なのか、この本でイヤになるほど分からされる。 日本人は人権を、たんなる「思いやり」とか「優しさ」程度にしか思っていないのではとの記載がある。これは本当にそうだという実感がある。 思いやりも優しさも、前提として強者が弱者におこなうことだ。弱者が可哀想な存在である限りは優しく思いやるが、権利を主張し始めると煙たがったり、その対象ではないと切り捨てたりもできる。 日本人は思いやりがあるとか、優しいと評されるのを間に受けてはいけない。あなたって身内贔屓ですよねと言われていると思った方がいいくらいだ。 道徳とかいう気持ち悪い教科で悪しき日本人像を学ばせるのではなく、この本を必須にして国際人権意識を早く身につけさせたほうがよいと心底思う。
  • 2025年6月10日
    若者殺しの時代
    若者殺しの時代
    考えてみると、なぜ稼ぐ手段が限られている若者からお金を巻き上げるビジネスが当たり前になっているんだろう。そんな疑問から手に取ったのがこの本だ。 著者によると、転機となったのはクリスマスが家族から恋人のものに変わった1983年らしい。それまではお金のない人間として放っておかれた若者がマーケティングの対象としてカテゴライズされ、メディアが揃いも揃って「若者はこうするべきだ」という情報を流し、投じた資本を回収するためのビジネスが始まったそうだ。 自分はそんな若者が搾取対象化した後に生まれたのだが、雑誌を見てほしいものが見つかっても、それを買うための手段が限定され過ぎていて、どこか違和感を抱いていた。それを言語化してもらえて非常にすっきりしたとともに、この国は何てさもしいのだろうと悲しくなった。
  • 2025年6月9日
    黒い海 船は突然、深海へ消えた
    隠蔽国家であり、結局のところアメリカの属国でしかない日本という国の官僚や政治家は、なんだか鵺のような存在だなと思う。 たしかにその職に就いてる人らしき者はいるのだが、実態が見えない。まるで実体を明らかにしたら雲散霧消してしまうかのようだ。 そんな鵺たちが、結論ありきでかたちだけキレイにまとめた漁船沈没事故の顛末。間違いを認めたら死ぬ病に罹っている彼ららしい、徹底した責任回避ぶりにため息が出る。 それにしても私たちは、海や船について知らなすぎるのではと考えさせられる。4章冒頭で著者も言っているように、漁船にまつわる事故や事件をメディアはきちんと報道していないのではないか(センセーショナルな初報は下衆なレベルで行うが、続報がないという意味で)。 もともと報道の類いは基本信じない体で受け取るようにしているが、そもそも報道されないものに信じるも信じないもない。著者がそんな事故…いや事件の事実を、根気強く追い続けていった、その執念に感服した。教えてくれてありがとうと伝えたい。
  • 2025年6月9日
    普通の底
    普通の底
    凶悪犯罪が起こると、犯人がいかに人外的な思想を持つ悪人であるかが強調され、我々「普通の人」とは別の世界に住む異界の生物であることが語られる。 それは「普通の人」である我々は、けっしてそうはならないから安心だよね、というメッセージングでもある。分断してしまうことで、逆に安心してしまう、そんなエンタメをメディアは提供してくれる。 凶悪犯だからそこには明確な悪意や思想・怨恨があるだろう。そんな物語を、我々「普通の人」は求めてしまう。なぜなら、我々にはそんな物語がないのだから、凶悪犯にはなり得ないと思えるから。 この本で語られる川辺優人という人物の物語は、有り体に言って普通である。2025年という時代から見ると、どちらかと言えば恵まれた人生を送っている。たしかに主体性がなく、選ぶべきでない選択をなし崩しに選んでしまっている面はあるが、それほど珍しいというわけでもない、この希望のない時代に合った人間だと思う。 彼自身が独白しているとおり、その言葉はとても薄っぺらい。恨みも厭世観も、怒りも哀しみも、すべてが薄っぺらい。しかし、意図せず罪を犯してしまう人間は、大抵こんな薄っぺらい理由で道を踏み外してしまうのではないか。きっと自分が罪を犯してしまうときも、こんな薄っぺらい理由なんだろう。読後しばらく、暗澹たる気持ちになった。
  • 2025年6月5日
    ファンたちの市民社会
    ファンダムについて学びたく読み始めた本。 自分はいわゆる異世界転生モノが嫌いなのだが、なぜ嫌いなのかを言語化できていなかった。この本で著者が「入植植民地主義」に例えて解説されていて、これが実にしっくりきた。なるほど、植民地主義を嫌悪しているからこその忌避感だったのか。 また同様に、観光文化というものが原理的に搾取が埋め込まれていることから、コンテンツツーリズムにも懐疑的だったのだが、それについても腑に落ちる内容だった。 この本の良いところは、原理問題ではなく程度問題で提案されている点。資本主義と分かち難く結びついているファンダムには「悪さ」が含まれており、そのことに自覚的になりつつ推しを愛でる心構えが必要だ。権力側の都合のいいファンとして飼い慣らされないように楽しむ、そんな成熟した生き方を教えてくれる良本だと思う。
  • 2025年5月25日
    「学び」がわからなくなったときに読む本
    ビジネスの現場で1日に何度も耳にする「成長」「学び」という言葉が嫌いで、学ぶことの原点に立ち返ろうと思って読んだ1冊。役に立つこととか、仕事にすぐ活かせることだけが「学び」とされていて、本当に世の中は居心地が悪い。 全編を通してインスタントな学びに懐疑的であり、我々大人がそういった薄っぺらい学び方を良しとしているから、子供たちへの教育も薄っぺらくなっていることがよく分かる。 それを自家薬籠中の物にしてしまった子供は、勉強をタイパ・コスパでしか見なくなるのは当然。当の大人たちがそうなっているのだから。 この本の結論として挙げられているわけではないが、いい大人になった我々に必要なのは「成熟するための勉強」だと思う。 たぶん死ぬ間際になっても「ああ、結局成熟することは無かったなぁ…」と思い残すことがたくさんあるだろうけれど、そのための勉強は惜しまなかったことを誇れるように生きたい。
  • 2025年5月21日
    東大生はなぜコンサルを目指すのか
    何かにつけて「成長したい」と口にする人が多い業界で長く働いているけれど、成長してどうなりたいのかを言える人って、ひとりもいなかった。 なんでそんなに成長したいんだろう? あなたの成長って、要するにどういう意味なんですか? そんな成長教信者にウンザリしていたが、それが何故なのかはっきりしなくて読んだのがこの本だった。 成長を駆り立ててくる政治や空気が後押ししているのは間違いなく、多くの人はそれに感化されて他者の夢を自分の夢と混同してしまっているのだと思う。成長するにしても、その中身は自分で決めればいい。コンサルに入ることでも、高給を得ることでもない。(心からそう思えるなら、それはそれでいいのだけれど)
  • 2025年5月19日
    東大ファッション論集中講義
    なぜメンズ服は画一的でつまらないのかが気になって、手に取った一冊。目から鱗のエピソードが頻出し、一気読みしてしまった。 旧来の貴族的価値観では、公の場で働く男は実用的な黒のスーツを纏うことが求められ、うちなる家庭を守る女は美しく着飾る自身の外見を通して夫の経済力や社会的地位を表す役割を担わされた。それが2025年の今も崩されることなく踏襲されてしまっているという。 帯分に書かれた、ファッションを問うことは我々自身の、現代社会の根幹を揺るがす問題を孕んでいるから、「浅いもの」として見過ごそうとしているという提起に納得した。
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