
彼らは読みつづけた
@findareading
2026年6月3日

少年泉鏡花の明治奇談録
峰守ひろかず,
榊空也
読み終わった
電子書籍
*本の中の読書*
《店先での二人の会話は店内にも聞こえているはずだが、当の鏡太郎は黙々と曲亭馬琴の「近世説美少年録」の頁を繰り続けている。よくもあれほど熱心になれるものだと感心しつつ呆れつつ、義信が鏡太郎の横顔を眺めていると、瀧が微笑んだ。
「ああなると、当分掛かりますよ。話しかけても耳に入らないので、選び終えるまで気長に待つしかないですけど……もしかして、帰りも送るって約束しちゃったんですか?」
「その通りです。すぐ選ぶからと言われたので、それなら構いませんよと」
「鏡太郎さんの『すぐ』は、下手したら半日ですよ。お疲れ様です。……しかし鏡太郎さん、呑気に貸本屋なんかに来てていいんですか? 受験も近いんでしょう?」》
— 峰守ひろかず著『少年泉鏡花の明治奇談録』(2023年8月Kindle版、ポプラ文庫ピュアフル)






