
霧
@yoruto
2026年6月5日

初ものがたり
宮部みゆき
読み終わった
借りてきた
あらすじ
鰹、白魚、鮭、柿、桜…。江戸の四季を彩る「初もの」がからんだ謎また謎。本所深川一帯をあずかる「回向院の旦那」こと岡っ引きの茂七が、子分の糸吉や権三らと難事件の数々に挑む。夜っぴて屋台を開いている正体不明の稲荷寿司屋の親父、霊力をもつという「拝み屋」の少年など、一癖二癖ある脇役たちも縦横無尽に神出鬼没。人情と季節感にあふれた時代ミステリー・ワールドへご招待!
本文p75より、抜粋。
取り調べは峻烈をきわめた。
茂七はむろんのこと、この件を扱うことになった本所深川方の同心も、頭から湯気が出るほど腹を立てていたからだ。この旦那は、子供らのためのお救い小屋をつくるという件に、いちばん熱心な人でもあった。
「情けない、俺は情けないぞ、茂七」
自身番のなかで地面を踏みならして、旦那はわめいたものだ。
「いつから、この町の人間はこんな非道なことをできるようになった。いつから、こんな犬畜生でもやらないことをするようになった。教えてくれ、茂七」
