

霧
@yoruto
- 2025年7月12日宵山万華鏡森見登美彦借りてきた読み終わった本文p111より、抜粋。 山田川敦子は絵の具を彼に投げつけた。 「これができないと我慢できないの! この鼻孔から溢れがちの絢爛たるイメージをどうしてくれるの! 憤懣やるかたないのよ! 私、脳味噌がもうぱんぱんよ!」
- 2025年7月10日貧しき人びとドストエフスキー借りてきた読み終わった本文p229〜、抜粋。 わたしは憂鬱な気分で家へ帰ると、テーブルに腰をおろし、お湯を沸かして、お茶を一杯のもうと用意していました。ふと見ると、ここの貧乏な間借人のゴルシコーフが部屋の中へ入ってくるじゃありませんか。わたしはけさのうちから気づいていたのですが、ゴルシコーフは下宿人のところを方々訪ねまわって、わたしのところにも寄ろうとしていたのです。ついでにいっておきますが、あの一家の暮らしむきはわたしのところなんかと比べものにならないほどひどいのです。(中略)彼はすみませんと、永いことあやまっていましたが、それでもコップを取りあげました。砂糖をいれずに飲もうとするので、砂糖をいれなくちゃとすすめますと、またすみませんとあやまるのです。永いこと押問答して、辞退したあげく、ようやく一番小さな砂糖のかけらを自分のコップに入れて、とっても甘いですね、といいはるのです。ねえ、貧乏というものはこんなにまで人間を卑屈にするものなんですよ!
- 2025年7月5日パン焼き魔法のモーナ、街を救うT・キングフィッシャー,原島文世借りてきた読み終わったあらすじ 魔法使いがそんなには珍しくない世界。パン屋で働く14歳のモーナも、パンをうまく焼いたり、クッキーにダンスさせたりと、パンと焼き菓子限定のちょっとした魔法を使えた。そのモーナが、ある日知らない女の子の死体を見つけてしまう! そのうえ、陰謀に巻き込まれ、敵の軍勢が攻めてきたとき、魔法使いはモーナただ1人! 街を守れだなんて、どうしたらいい⁉︎ あ ネビュラ賞・ローカス賞など5賞受賞の話題のファンタジイ。
- 2025年6月30日楽園 下宮部みゆき借りてきた読み終わった本文p233〜、抜粋。 「なんでおまえの姉さんを殺したかっていったら、こんなろくでなしの姉さんがいたら、先々おまえが大変だって思ったからだって、そう言えっていうんですか。おまえのためにやったって、そう言やぁいいですかね」 「いんや、違う」一人芝居のように表情と仕草をつけながら、土井崎元は続けた。「父さんも母さんも、おまえの姉さんにはさんざん手を焼かされて、いい加減うんざりだったんだ。もう茜は要らん、娘はおまえ一人でいいと思ったんだよ。そう言えば、誠子は喜びますかね?」 え? どうですよ。どう思います? 「それともこう言いますか。父さん、思わずカッとなっちまったんだよ。後先考えなかったんだよ。それともこうですか。茜みたいなワルは世の中のためにならない。私ら家族にとっても悩みのタネになるだけだ。だから責任持って親の私が片付けたんだって、ね。あんた、どの言い訳がもっともらしいと思います? 娘を殺した親が残った方の娘に何て言ってやるんです? みんなみんな、家族のためだったとでも言いますかね? え?」
- 2025年6月14日カスピアン王子C・S・ルイス借りてきた読み終わった本文p329より、抜粋。 カスピアンが言った。「わたしはもう少しましな血筋だったらよかったのに、と思いながら聞いておりました」 「あなたはアダム殿とイヴ夫人の子孫である」アスランが言った。「そのことは、もっとも貧しい物乞いにさえ頭をもたげさせるほどの名誉であり、また、地上でもっとも偉大な皇帝の両肩を落とさせるほどの恥辱でもある。足るを知りなさい」 カスピアンは頭を下げた。
- 2025年6月9日楽園 上宮部みゆき借りてきた読み終わった『模倣犯』から9年後の続編。 本文p285より、抜粋。 その絵画教室は、彼女の大学の指導教授が自宅で開いていたものだった。生徒は大人と子供が半々。子供を教える方が楽しかったし、刺激があったという。 「わたしの先生は、中高生にそういう凄い両親の肖像を描かせて、こう言うんです。この絵をずっととっておきなさい。これが、あなた方の若い魂が今現在認識している世界の姿です。そして、いつかこの絵を一抹の含羞と深い愛情を持って眺められるような大人になりなさい」 慈子は微笑んで、尋ねた。「画家になるならないとは関係なしに?」 花田先生も微笑んでうなずいた。「はい。人は誰でも絵を描きながら生きていますから。たとえ絵筆は持たなくても」 それもまた、慈子が今まで思ってもみなかったことだった。人は誰でも己の絵を描いている。
- 2025年6月2日蒲生邸事件宮部みゆき借りてきた読み終わった本文p139より、抜粋。 「私は死ぬ運命にある人を助けることができる。その人間が気にくわなければ見殺しにすることもできる。あるいは、大きな事故が起こるとわかっている場所に、自分の嫌いな人間をわざと行かせて、殺したり、傷つけたりすることもできる。そうして何の罪にも問われず、誰にも気づかれず、恨まれることもない。ああ気持ちがいいさ。爽快だよ」 言葉とは裏腹に、平田の顔は蒼白だった。 「でも、まがいものはしょせんまがいものだ」と、吐き捨てるように言った。
- 2025年5月22日虚像の道化師東野圭吾借りてきた読み終わった
- 2025年5月3日
- 2025年4月27日馬と少年C・S・ルイス借りてきた読み終わった本文、p228より抜粋。 「わが良き馬よ、おまえさんが失ったのは、うぬぼれだけじゃ。いや、聞きなさい、わがいとこよ。そんなふうに耳を寝かせてたてがみを振るものではない。さっきのように謙虚な気もちになっておるのならば、道理に耳を傾けることも学ばねばならぬぞ。おまえさんはもの言わぬ哀れな馬たちの中で生きてきたせいで、自分がりっぱな馬だと思い上がるようになったが、実際にはそれほどでもなかったということじゃ。もちろん、おまえさんは、あの馬たちにくらべれば勇敢だし、頭も良い。それはしかたのないことじゃ。しかし、だからといって、ナルニアでも特別な馬でいられるということにはならぬ。だが、自分が何も特別な存在ではないという自覚を持っておるかぎり、まあだいたい、おまえさんはまともな馬として生きていけるじゃろうと、わしは思うよ。さて、おまえさんも、そちらの四本足のいとこも、台所の戸口へおいで。マッシュがまだ半分残っておるよ」
- 2025年4月25日精霊の木上橋菜穂子借りてきた読み終わった本文、p206より抜粋。 「あのな、おれはいっつも思ってた。テレビなんかで、大芸術家かなんかの特集をやるとき、ナレーターが、『彼は後世に偉大な芸術を残せたのです。それだけは、いつまでも生きつづけるのです』って言うだろ。でも、じゃあ、その他大勢の人は、どうなるんだ? なにかを残せた人は価値のある人生を生き、そうじゃない人はむなしいのか? 何億年っていう時のあとには、人類そのものだって、消えてるかもしれないのにな」 「そう思ったとき、頭の中がしらっちゃけていくような気がしない?」 「だけど、じゃあ、死がなかったらむなしくないのかっていうか、ーーちがうな。 だけどさ、なんで、生まれたあとから教えられたり、考えたりしたことで、生きてることがむなしいなんて考えが出てきちゃうんだ? それって、なんか変だと思わないか? たとえばさ、不幸な人が、人生なんてつらくていやなものだっていうのはわかるんだ。そう感じる場合、あるはずだもんな。でもむなしいっていうのは、ぜったいどっかおかしいとおれは思うんだよ」
- 2025年4月21日模倣犯 (五)宮部みゆき借りてきた読み終わった本文、p67より抜粋。 「犯人は人殺しをしたいんじゃない。あんたの意見に拠れば、奴はただイベントを起こしてるだけだ。言ってみりゃ創作だ。じゃあ、その動機はなんだ?」 「創作活動に動機は要らないよ。作家に訊いてみろ。画家に訊いてみろ。どうしてそんなことをするんだと訊かれたら、連中はたぶん、みんな同じようなことを答えるはずだよ」 ただ、そうしたいからだーーと。
- 2025年4月12日ミセス・ハリス、パリへ行く(1)ポール・ギャリコ,亀山龍樹借りてきた読み終わった本文、p28より抜粋。 ハリスおばさんの城は、苦労つづきのしみだらけという風采だったが、それでもハリスおばさんは、自分なりにけなげに、この部屋をかざってきたのだった。生活の苦しみのにじんでいるハリスおばさんの部屋には、じつのところ、そのような最高級のぜいたく品、あでやかなドレスなどがはいりこむ余地はなかった。 しかし、ハリスおばさんは、そんなドレスをぜひとも自分も持ちたかった。ドレスを戸だなの中につるしておいて、家を留守にして働いているときも、(あそににあれがあるんだよ)と、いつも思っていられる、帰って戸をあけると、そこには、すてきな手ざわりと、目の保養をさせてくれる自分のドレスが待っている。そうなったら、どんなにいいだろう。 読んだ感想(というよりは、ひとこと) ミス ペンローズにはバチが当たりますように!
- 2025年4月6日ライオンと魔女と衣装だんすC・S・ルイス借りてきた読み終わった本文、p99より抜粋。 ダムを目にしたとたん、四人ともビーバーがダムを作る習性の持ち主であることを思い出し、目の前のダムは友人のミスター・ビーバーが作ったものにちがいないと思った。 見ると、ミスター・ビーバーは顔につつましい表情をうかべて立っているーー自分の丹精した庭を案内するときや、自分が書いた物語を読み聞かせるときに人がよく顔にうかべる、あの表情だ。 そこで、スーザンはいちおうの礼儀として「なんてすてきなダムなんでしょう!」とほめた。 すると、このときばかりはミスター・ビーバーは「しーっ!」とは言わず、「たいしたことはありません! たいしたことはありません! まだ完成もしていないんです!」と答えた。
- 2025年3月30日模倣犯 (四)宮部みゆき借りてきた読み終わった本文、p496〜抜粋。 「事件についてしゃべりたくてウズウズしているはずだ。遅かれ早かれ、いつかはしゃべりだす。一度しゃべりだしたら、止まらないだろう。今度こそは自分の気の済むまで、飽きがくるまでしゃべり散らすだろうさ」 「気が済んで、飽きたらどうなる?」 「必ず、また人を殺し始める」
- 2025年3月21日魔術師のおいC・S・ルイス,土屋京子借りてきた読み終わったあらすじ 魔法の指輪で異世界に迷い込んだディゴリーとポリーは、廃都に眠る悪の女王を誤って復活させ、ロンドンに連れ帰ってしまう。女王を元の世界に戻そうとするが、入り込んだのはまた別の世界。そこでは今まさに一頭のライオンが新しい国を創造しようとしていた。ナルニア最初の冒険!
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