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霧
霧
@yoruto
  • 2025年11月20日
    実は、拙者は。
    あらすじ 深川佐賀町の裏店に住まう棒手振りの八五郎は、平凡かつ地味な男。人並み外れた影の薄さが悩みの種だが、独り身ゆえの気楽な貧乏暮らしを謳歌している。そんな八五郎は、ある夜、巷で噂の幽霊剣士「鳴かせの一柳斎」が旗本を襲う場に出くわす。物陰から固唾を呑んで闘いを見守る八五郎だが、一柳斎の正体が、隣の部屋に住まう浪人の雲井源次郎だと気づき──。影と秘密は江戸の華!? 期待の新鋭が贈る、書き下ろし傑作時代小説。
  • 2025年11月18日
    ぼくの家族はみんな誰かを殺してる
    ぼくの家族はみんな誰かを殺してる
    あらすじ ぼくたちカニンガム家は曰くつきの一族だ。35年前に父が警官を殺したあの日以来、世間からは白い目で見られている。そんな家族が3年ぶりに雪山のロッジに集まることになったのだから、何も起こらないはずがないーその予感は当たり、ぼくらがロッジに到着した翌日、見知らぬ男の死体が雪山で発見された。家族9人それぞれが何かを隠し、怪しい動きを見せるなか、やがて第2の殺人が起こり…。
  • 2025年11月8日
    京都祇園もも吉庵のあまから帖3
    あらすじ かつて一世を風靡しながら、不慮の事故で行方を晦(くら)ました歌舞伎役者が、十五年ぶりに京都に姿を現した理由とは。 茶会の準備で老舗和菓子屋の女性が見せた「おもてなし」の神髄。 ようやくお店出しが決まった舞妓に思わぬ事態が……。 祇園にひっそりと佇む一見さんお断りの甘味処「もも吉庵」を営む元芸妓・もも吉と、そこに集い、慎ましくも誇り高く生きる人々の哀歓を描いた連作短編集。 シリーズ第三弾。 文庫オリジナル。
  • 2025年11月8日
    怪物
    怪物
    あらすじ 「豚の脳を移植した人間は? 人間? 豚?」シングルマザーの早織に、息子の湊が投げかけた奇妙な質問。それ以降、不審な行動を繰り返す湊に、早織は学校でのいじめを疑うが……。母親・教師・子供の3つの視点から語られる物語に潜む"怪物“の正体とは。
  • 2025年10月26日
    ボトルネック
    ボトルネック
    あらすじ 亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。 p119より、抜粋。 「何でもなくなれば、いいんじゃないかな」  ゆっくりと、ノゾミがぼくを見る。 「何でもなくなる?」 「そうすればきっと、モラリストにも、ヒューマニストにも」  子供を生んだのは社会的地位のためだと当の子供に口を滑らせる父にも、ご馳走を二人分だけ作ることに腐心する母にも、「子供は金輪際これっきり」という意味の名前にも、 「無敵になれる」
  • 2025年10月25日
    白痴(1)
    白痴(1)
    あらすじ 人々は彼を、愛情をこめて「白痴」と呼ぶ…。この最高の「恋愛小説」はペテルブルグへ向かう鉄道列車の中から始まる。スイスからロシアに帰る途中のムイシキン公爵と父親の莫大な遺産を相続したばかりのロゴージン。2人の青年が出会った絶世の美女、ナスターシャをめぐる熱き友情と闘い。 p427より、抜粋。 「……これでいいの、公爵、ほんとにいいの、そのうちわたしを軽蔑しだすにちがいないんだ、わたしたち、幸せになんかなれっこないの! 誓ったりしちゃだめ、わたし、信じないもの! それに、ほんとうにばかなまねをするところだった!……そう、それよりも、気持ちよく別れましょう、でないと、わたしだって、こう見えて夢多き女ですから、なんの得にもなりゃしないから! わたしがあんたのこと、夢に見なかったと思う? あんたの言ったとおり。もうずっと夢に見ていたんだから、まだあの人の村で五年間ひとりぼっちで過ごしていたときからよ。考えて、考えて、夢に見て、夢に見て。そうしてずっと、あんたみたいな人を空想していたの。優しくて、誠実で、いい人であんたみたいなちょっとしたおばかさんが、いきなりこんなことを言い出すの。『ナスターシヤさん、あなたは悪くない。わたしはあなたを崇めている』って。そう、そんな夢をさんざん見てきたの。ほんとうにおかしくなるほど……」
  • 2025年10月17日
    ルビンの壺が割れた
    あらすじ 「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」-送信した相手は、かつての恋人。フェイスブックで偶然発見した女性は、大学の演劇部で出会い、二十八年前、結婚を約束した人だった。やがて二人の間でぎこちないやりとりがはじまるが、それは徐々に変容を見せ始め…。先の読めない展開、待ち受ける驚きのラスト。前代未聞の読書体験で話題を呼んだ、衝撃の問題作!
  • 2025年10月14日
    アルジャーノンに花束を新版
    アルジャーノンに花束を新版
    p296より、抜粋。  ときどき初期の経過報告を読みなおしてみて、無学ゆえの書き誤り、幼児のような天真爛漫さ、暗い部屋から鍵穴を通して、外の、目もくらむ光りをのぞいている低い知能しかもたない心などを見た。まわりにいる人々が言っていることに楽しそうに、心もとなさそうに笑っているチャーリイを夢や記憶の中に見た。鈍い頭脳ながらも、自分が劣っていることは知っている。  他の人たちは自分にない何かをーー自分を拒否する何かを持っている。知能において盲目の身でそれが読み書きの能力と関係があるのだと信じていた。それらの能力が得られれば、知能も得られるのだと思っていた。  知的障害者ですら、まわりの人のようになりたいと願っている。
  • 2025年10月11日
    京都祇園もも吉庵のあまから帖 2
    p284より、抜粋。 「世の中にはなあ、知らん方がええこともある。聞かん方がええこともあるんと違いますやろか?」 「……」  それは間違いなく、勇に向けられた言葉だった。 「昔から、秘すれば花と言いますなぁ。もし、知ってしもうたら、聞いてしもうたら、辛い思いをするお人がおるんやないやろか。人の心を苦しめてまで、知らなあかんことはないのと違いますやろか」  強くはあるが、やさしさを含んだ瞳で見つめられた。
  • 2025年9月23日
    京都祇園もも吉庵のあまから帖
    p217より、抜粋。 「ええか、巌夫。覚えとき」 「なんやの」 「人に恥をかかせたらあかん。世の中はなぁ、正しいとか正しくないということより、大切なことがあるんや」 「……」 「さっきな、高校生叱るんは、容易いことや。そやけど、そないなことしたらあの子らの立場がのうなってしまう。そやから耳元でささやいてやったんや」 「なんて?」 「一つお願い聞いてもらえんやろか。あそこのお爺ちゃん、お婆ちゃんに席譲ってやってほしいんや。もし、そうしてくれたら、えらいかっこええで〜。きっと祇園でもモテモテや」  巌夫は、それが「粋」というものだと教わった。
  • 2025年9月20日
    新装版 殺戮にいたる病
    p216より、抜粋。 「……やはり、食べるためにですか」樋口は眉をひそめながら言った。  教授は首を振った。 「まさか、違うよ。ーー彼が盗んだのは、性器だよ。セックスだ。セックスそのものじゃないか。もちろん彼は自宅で彼女とセックスしていることだろう。そうに決まっている」
  • 2025年8月31日
    わたしの美しい庭
    本文p55より、抜粋。  母親からお見合いをセッティングされたり、気が進まなかったのにお断りされてショックを受けていたり、後輩から煙たがられたり、どれもよくあるつまらないことばかりだ。気の合う人たちとおいしいものを食べて、お酒を飲んで、笑って、それだけで気は晴れる。  根本的な解決にはなっていないけれど、生きていく中でなにかが根っこから解決することなんて滅多にない。しんどい。つらい。それでも明日も仕事に行かなくてはいけない。だからとりあえず明日がんばるための小さな愉しみを拾い集めていくことが優先される。  それが生きる知恵とわかっていても、たまに焦ることもある。考えすぎず、突き詰めすぎず、沈まない程度の浮き輪につかまって、どこともしれない場所へと流されていく。子供のころイメージしていた、なんでも知っていて間違えない思慮深い大人にはほど遠い。
  • 2025年8月29日
    夏の庭
    夏の庭
    本文p155より、抜粋。 歳をとるのは楽しいことなのかもしれない。歳をとればとるほど、思い出は増えるのだから。そしていつかその持ち主があとかたもなく消えてしまっても、思い出は空気の中を漂い、雨に溶け、土に染みこんで、生き続けるとしたら……いろんなところを漂いながら、また別のだれかの心に、ちょっとしのびこんでみるかもしれない。時々、初めての場所なのに、なぜか来たことがあると感じたりするのは、遠いだれかの思い出のいたずらなのだ。そう考えて、ぼくはなんだかうれしくなった。
  • 2025年8月11日
    絞首台の謎
    絞首台の謎
    本文p48より抜粋。 「ーーこのロンドンに、消えうせた街が確かにあると」 「ぜんたい、なんの話だ?」サー・ジョンが訊ねた。 「まあいい、ルイネーション街とはどこだ? そこが気になって仕方がない。人間が消えるぐらい、大した話ではないよ。どこぞのいかれたやつが電話してきて、失踪者が吊るされたと通報することもあるだろう。だがね、通り一本そっくり消えたとなると、れっきとした街ひとつがロンドンからかき消えたことになる。これ以上おかしな話はなかろう?」
  • 2025年7月31日
    悪魔の手毬唄
    悪魔の手毬唄
    あらすじ 休養のため岡山県の僻地、鬼首村を訪れた金田一耕助。耕助が逗留する「亀の湯」の主人源治郎は二十年前に殺害され、犯人と目される詐欺師恩田幾三はいまだ捕まっていないという。東京で大人気のタレント大空ゆかりが、故郷のこの村へ帰ってくるー村中が歓迎ムードで沸き立つ中、庄屋の末裔多々良放庵が突如失踪。これを皮切りに、悪魔が仕掛けたような狂気の連続殺人が、手毬唄にのせて幕を開ける…。閉鎖的な山村を舞台に、真骨頂「見立て殺人」の深化に挑んだ、横溝文学の集大成。
  • 2025年7月28日
    切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人
    本文p215〜、抜粋。 「他人の臓器を奪って生き長らえただと? ふん、神様でもない者が何を高所から喋っていやがる。患者は生きるために必死なんだ。もう使われなくなった臓器をもらい受けることのどこが罪だ。担当する患者の命を救うことの何が偽善だ」
  • 2025年7月12日
    宵山万華鏡
    宵山万華鏡
    本文p111より、抜粋。  山田川敦子は絵の具を彼に投げつけた。 「これができないと我慢できないの! この鼻孔から溢れがちの絢爛たるイメージをどうしてくれるの! 憤懣やるかたないのよ! 私、脳味噌がもうぱんぱんよ!」
  • 2025年7月10日
    貧しき人びと
    貧しき人びと
    本文p229〜、抜粋。 わたしは憂鬱な気分で家へ帰ると、テーブルに腰をおろし、お湯を沸かして、お茶を一杯のもうと用意していました。ふと見ると、ここの貧乏な間借人のゴルシコーフが部屋の中へ入ってくるじゃありませんか。わたしはけさのうちから気づいていたのですが、ゴルシコーフは下宿人のところを方々訪ねまわって、わたしのところにも寄ろうとしていたのです。ついでにいっておきますが、あの一家の暮らしむきはわたしのところなんかと比べものにならないほどひどいのです。(中略)彼はすみませんと、永いことあやまっていましたが、それでもコップを取りあげました。砂糖をいれずに飲もうとするので、砂糖をいれなくちゃとすすめますと、またすみませんとあやまるのです。永いこと押問答して、辞退したあげく、ようやく一番小さな砂糖のかけらを自分のコップに入れて、とっても甘いですね、といいはるのです。ねえ、貧乏というものはこんなにまで人間を卑屈にするものなんですよ!
  • 2025年7月5日
    パン焼き魔法のモーナ、街を救う
    パン焼き魔法のモーナ、街を救う
    あらすじ  魔法使いがそんなには珍しくない世界。パン屋で働く14歳のモーナも、パンをうまく焼いたり、クッキーにダンスさせたりと、パンと焼き菓子限定のちょっとした魔法を使えた。そのモーナが、ある日知らない女の子の死体を見つけてしまう! そのうえ、陰謀に巻き込まれ、敵の軍勢が攻めてきたとき、魔法使いはモーナただ1人! 街を守れだなんて、どうしたらいい⁉︎ あ ネビュラ賞・ローカス賞など5賞受賞の話題のファンタジイ。
  • 2025年6月30日
    楽園 下
    楽園 下
    本文p233〜、抜粋。 「なんでおまえの姉さんを殺したかっていったら、こんなろくでなしの姉さんがいたら、先々おまえが大変だって思ったからだって、そう言えっていうんですか。おまえのためにやったって、そう言やぁいいですかね」 「いんや、違う」一人芝居のように表情と仕草をつけながら、土井崎元は続けた。「父さんも母さんも、おまえの姉さんにはさんざん手を焼かされて、いい加減うんざりだったんだ。もう茜は要らん、娘はおまえ一人でいいと思ったんだよ。そう言えば、誠子は喜びますかね?」 え? どうですよ。どう思います? 「それともこう言いますか。父さん、思わずカッとなっちまったんだよ。後先考えなかったんだよ。それともこうですか。茜みたいなワルは世の中のためにならない。私ら家族にとっても悩みのタネになるだけだ。だから責任持って親の私が片付けたんだって、ね。あんた、どの言い訳がもっともらしいと思います? 娘を殺した親が残った方の娘に何て言ってやるんです? みんなみんな、家族のためだったとでも言いますかね? え?」
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