
花春
@haru-tuge
2026年6月6日

魍魎探偵今宵も騙らず
綾里けいし
読み終わった
大人向け:物語
江戸っ子っぽい言い回しでテンポの良い会話劇中心に進んでゆくので、すごく読みやすかった。
あの江戸っ子っぽさ、長編だとくどくなると思うので、一日一話ずつ読み進められる連作短編のかたちなのも上手いな~。
お役目があって探偵をしている、役目とは別に自分の願望・目的も抱えている、柏手を打てば主要登場人物が移動して全員揃った状態で謎解きが始まる、助手役の妖狐ちゃんは三味線の音を口で言って合いの手を入れる、謎解きが終わったら刀を振り回すアクションが入る、懐中時計の針が逆回りに回った時間の間だけ変化して異形としての力を振るえる、狐が刀に変わる…とか、ありがちだけど大好きな展開てんこもりな感じ。
そこに「妖怪の生態を生物学的に解釈し、事件の謎解きをする」要素が加わって、探偵ものとしても面白い。
人魚は食ったモノを不死にするが自身は不死ではない、どうして生物であるのにそんな生態なのだろう?等、「生命の種としての目的は種の存続と繁栄であるはず」という解釈ベースがわかりやすい。人魚と件の話が好きだなー。
すごくおもしろ~!と思ったからこそ、駆け足で一冊完結として描かれたのが…惜しくてならない…!
連作短編のラストに狂言回しの役どころだった主人公たちが主役の物語を入れるというよくある作りになってたのだけれど、「今までの事件」と「主人公たちの物語」が関係ないのが惜しい。今までの物語が主人公たちの心を動かしてないので、「これ一話目でも最終話でも何も変わらないよね」感がある。
数巻かけて、あれこれ謎解きしつつ、各事件が主人公たちに影響を与えた結果として最終話に雪崩れ込む…の図式だと、もっと読み応えあった気がする~!
昨今は、そういう中期スパンで出版計画は練りづらいのかなあ。この作者さん、シリーズもの書いてらっしゃる方ではあるようだけども…。
(今作が初読なので他作の描き方知らないけども)
