中原メロス "ノマド" 2026年6月7日

ノマド
ノマド
ジェシカ・ブルーダー,
鈴木素子
映画「ノマドランド」がとても好きなので、もっと詳しく知りたいと思い原作も読んだ。 原作を通して知ったのは、ノマドになる人が必ずしも学歴や教養のない人ばかりではないということ。かつては有名企業に勤めていたり、華やかな経歴を持っている人でさえ、金融危機やディスラプションにより職を失い、車上生活を選択するケースも少なくない。 また、映画では言及されなかったが、ノマドの多くは白人であるという。「不自由な生活」を楽しむには、ある種の特権的地位が必要であるという事実に、アメリカに深く根付いている問題を改めて意識させられる。 さらに、日本の労働法では考えられない、想像を絶するアマゾンの倉庫の労働環境が印象的だった。 「日に二十四キロ歩く」ことを毎日続けるのは、健康な若者ですら相当な負担である。しかし、その労働者の多くは高齢者であり、彼ら・彼女らは言葉通り"身を滅ぼして"働いている。 日本とアメリカでは労働法や社会保障制度などが大きく異なるため、最初はノマドたちの選択に理解ができなかった。 しかし高齢化が急速に進む将来、他人事では済まされない可能性がある。 原作を読み終えて、もう一度映画を観たいと思った。アメリカという超格差社会の中でも、必死に働き、夢を抱き、自力で生き抜く逞しさに感動すると同時に、その逞しさを必要とする社会のあり方についても考えさせられた。
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