
十海
@toumi
2026年6月9日

城の少年
菊地秀行
再読中
2020年発行の絵本。省略の技の極みで綴り塗られた一冊。
菊地秀行先生の文章を絵本にするとここまで磨きあげられるのだ。
少ない文字、ばっさりカットされる描写。
これだけで充分なのだ。
誰もいない城にひとりぼっちで住む少年。
スッと影から湧く黒づくめの若者が何者か、なんて説明の必要もない。
覚えのある書き表しで、すぐわかる。
そして文字を補完し共にワルツを踊る絵の麗しさよ。
やさしい塗りと線の描くは切ない影のおとぎ話。
王様と女王様は息子を慈しんでいたのだ。気まぐれでここまで優しく守り通すことはできない。
少年が少女に向けた思いと差し伸べる手、言わなかったことばはその証。


