みゆこ.~. "ライオンハート" 2026年6月11日

みゆこ.~.
みゆこ.~.
@miUiko
2026年6月11日
ライオンハート
読書を続けているのは、こういう物語に出逢うためだったと、喜びが溢れた。タイムトラベルテーマのひたすらに多面的な作品。映画を読んでいる、みたいな不思議な感覚。 "エリザベスの始まり"を知った時、涙が溢れた。どうやったらこんな構成を思いつくのだろうという感嘆と、人類の長い歴史の中でそれぞれの人生が紡いできた果てしなく壮大な物語たちに思いを馳せたから、だと思う。 特にイヴァンチッツェの思い出は、構成が面白くて読み返した。 青空の下、煙が立ち込める中、人生の喜びも痛みも何もわからない子供たちが恐怖に目を血走らせながら次々と倒れていく、時代も描かれる。 戦争の横に、変わらぬ人々の暮らしも存在しているという、普段生きている間は意識することのないことを教えられた感覚もあった。 「どこかに人類全体の巨大な意識の流れのようなものがあって、個人の意識はその流れの表面にぷくりと浮かんでは、弾けて消える。今こうして存在している世界そのものが、その巨大な意識が見ている壮大な夢なのかもしれない。」 20世紀ロンドンの話も、面白かった。「生きる意味」を他者に見出したり、実現されないことについて「妻を傷つけた罰」、「定められた運命の一つ」といった、自己暗示をかけたりしていたけれど、実は...。というお話。 「これが今まで生きてきた意味だ」と思える出来事ってとても魅力的だけれど、ある種自己暗示的でもある、というか。隠された事実だってあるかもしれないし、表面的な事柄だけで判断しきれない、思い込みでどうとでも自分の中の過去も真実は変えられるのではないか、そう思った。 また、お互いが惹かれる場面で、年をとっても、知性と感性が若々しくきらめいている人、といった表現がされていたけれど、そうなりたい。思慮深く、思いやりに満ちた顔になりたい。 あとがきで、タイトルや年号、オマージュについて事細かに記載があって贅沢だった。英国王室史と紋章学の著書を読みたくなった。 解説 梶尾真治さんの、執筆を「自分が自分であり続けていることを確認するために、想像力を文字に置きかえる作業」という表現に惹かれた。そして、「なつかしさ」に焦点を当てて、オマージュ元を推察しながらどこから来る感覚なのか紐解いていかれる、流石作家さんだ、と思った
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