sara
@sarasa0120
2026年6月12日
百花
川村元気
読み終わった
「母」だけでも弱いのにそれに「老い」まで加わって、きっと人前で読んではいけないテーマ本なのだろうとは思っていたが、やはりダメだった
病院の待合で鼻を啜ってたまに上を向いて、食べ物のことを考えて意識を逸らしつつ読んだ
自分の中で当たり前だったその人の人間性が、少しずつ、あるいは急激に失われていく
自分と相手を繋ぐ記憶がなくなっていく
自分が誰なのか、ふとわからなくなる
記憶がなくなったら、どうやって自分を証明できるのか、その人を証明できるのか
亡くなった後、誰かの記憶の中からもいなくなって、思い出されることもなくなれば、本当にそれが死なのかもしれない
人生の中で鮮烈に刻まれる記憶があるけど、覚えておきたいと思ったことばかりじゃない
思い出したく無いのに苦い思いと一緒に消えてくれない記憶もある
大切だったはずなのにきっと忘れてる記憶もある
最近は、今、この瞬間をずっと覚えておきたい、ずっと忘れないで、と自分に刻まれるように願うことがある
大切な人の老いと共に失われていく記憶を、断片的ではあっても最後まで見届けられるのはある意味幸せなのではないかとも思う
記憶があっても肉体が持ち堪えられずに若くして亡くなってしまうこともある
ある日突然、目の前からいなくなってしまうこともある
何のために生きて、一緒に過ごした時間には何の意味があるのだろう
母であると同時に1人の女で、ピアノ教師で、娘である
1人の人間にあるいくつもの役割のうちの一つが母で、最初から母としてのみ生きているわけでもなければ、最初から母という役割を完璧に受け入れてこ
なしている人もきっといないのでは、と思う
誰でもいくつもの役割があって、自分が見ているのはその側面に過ぎない
役割について去年から考えていたテーマだったので、改めて今の自分の気になることが書かれている本を手に取るようにできているのだと思ってしまう
今自分にできることは、目の前の母をできるだけ大事にする
たくさん思い出話をして、記憶を共有する
これからのことを一緒に考える
自分が忘れているであろう母からの愛情のつまった記憶を、思い出せなくても、目の前の母に感謝する
自分が母という立場でも、やっぱり子供に今注いでいる愛情を覚えておいてほしいとは思わない
それでいい、忘れてていい、一生知らなくてもいいと思う
だけど自分は今のこの愛おしく思う気持ちを覚えておきたい
改めて母もきっと無性の愛をくれていたのだろうと思う
