浸る
@rattatatatat
2026年6月15日

新版 貧困旅行記(新潮文庫)
つげ義春
全てを捨て、自分のマンガのファンであると言う九州の女のもとに向かう蒸発旅日記から始まる。
人気の観光地には目もくれず、ひたすら侘しいボロ宿を目指す。
つげ義春による写真がまた素晴らしい。今は失われた昭和40年代の地方の温泉宿や街道の風景。
以下本文「旅年譜」より
1967年(昭和42)年
10月〈東北〉
古い旅の本で東北地方の湯治場の写真を見て、あまりに惨めで貧しそうで衝撃を受ける。自分の奥の何かが揺さぶられたような胸騒ぎを覚え、じっとしておれない気持ちで出かけた。 八幡平の蒸ノ湯(ふけのゆ)で馬小屋のように見すぼらしい宿屋に泊まり、乞食の境涯に落ちぶれたような、世の中から見捨てられたような気持ちになり、奥深い安心感を覚えた。