ときり "大人になったら、" 2026年6月16日

ときり
ときり
@yukoringlet
2026年6月16日
大人になったら、
書店で、新装された文庫本の帯「大人になったら、好きって簡単に言えると思ってた」の一文に雷に打たれたように共感して手に取った 35歳、主人公は考えることももんやりとした葛藤も多い ふと思ったことをすぐ打ち消して納得する 彼女の中には大きな空白がいくつもあって、その空白は彼女の前から去っていった人たちの元々いたところなのだと思う 大人として振る舞うことが当たり前に求められると、その空白には「べき」や「常識」が居座るようになるのだろう 結果、彼女がどうしたいのか意思はあまり感じられない 行き場を探して宙に浮いた女性性、委ねることができずに発揮できずにいる男性性が感じられて、序盤の彼女の未統合の幼さの所以を見る 反面、彼女と接している友人たちから見た人物像は、彼女は多くを語らない働き者でしっかりした人なのかもしれない 実際の、若さと勢いで突っ走れた世代から、落ち着いている「べき」とされた年代にさしかかり始めた女性のリアルなのだろうと思う 後半になるにつれ、段々頼もしさが感じられるようになった彼女は、過去の思い出たちと空白の中に漂うことをやめて自分の足で立ち始めたように思える 登場人物の心情の変化を繊細に、ばっきりと断言するのではなく読者の脳内に浮かび上がらせるように描く筆致は、同調とはまた別の、自分の場合は?と胸に手を置くような問いを読みながら持たせる、本と読者が等身大に向き合える力があるように感じた ちなみに、帯での衝撃的な共感とはうらはらに、一読者である自分は主人公と共通点はあまりなく勉強になったような気がしています🤭
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