yomitaos "テロル" 2026年6月17日

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@chsy7188
2026年6月17日
テロル
テロル
月村了衛
「どうせ日本は終わるのだ」という帯文に、ネトウヨや日本礼賛の自称愛国者たちは激怒するだろう。世界から愛され、尊敬される日本が終わるとは失礼すぎる!…とブチギレている様が思い浮かぶ。 大袈裟に聞こえるかもしれないが、ここ20年ほどの政治を見ていれば、亡国の一途を辿っていることは大抵の人が理解していると思うし、元総理大臣が銃撃されても何も変わらなかった(むしろ更に悪化した)現状から、もう日本はダメなんだろうという諦めムードが国を覆っている。 そんな中で投下されたこの本は劇薬だ。ほぼ日本の現状とニアリーイコールで描かれているこの世界で、銃撃犯はある種の信仰対象として描かれる。正直なところ、自分も同じような気持ちを抱いたことがある。殺人を称賛する気持ちは毛頭無いが、戦後最悪の政治家を葬った彼に惹かれるところは確かにあったから。 個人的に彼はテロリストではないと考えている。定義の曖昧なこの言葉を当てはめるべきなのは、ヘイトスピーチを繰り返す陰謀論者や、デマで塗り固めたweb記事やYouTube動画で金稼ぎをしている連中のほうではないか。この本ではそのような解釈が仄めかされる。私もそう思う。直接誰かの命を奪っているわけではないが、日本を唾棄すべきゴミクズにまで貶めるそのふるまいは、れっきとした「テロリストしぐさ」だろう。 しかし奴らがテロリストとして検挙されることはないだろう。なぜなら政権与党みずからがヘイトを吐き、動画作成を指示し、SNSで印象操作を積極的に行なっているのだから。いわばグルなのだ。こんな存在悪が束になってかかってきたら、良識ある一般人は飲み込まれる他ない。外国人差別発言を平気で垂れ流すまで、あと一歩だ。 日本がそんな絶望的な亡国であることを、その現状をまじめに受け止めること。そこからはじめるしかない。この本は日本が題材のディストピア小説ではない。日本の現状を嘘偽りなく描いた現代小説である。 テロルを読んで絶望しよう。そして、この物語よりほんの少しでもマシな世界にしよう。
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